この国は、昔から、目の前の私利や一度決めた目的のためには、国益も国民も見捨て、脇目もふらず「約束された結末」へ向けてレミングのようにひた走る、という遺伝子を持っているのではないかと思わせられる「ブレなさ」があります。

自民党菅政権の思惑はどうであれ、2021年に入った時点で、新型コロナウィルス感染者数の推移と緊急事態宣言のテンポをみれば、東京五輪の開催と、第5波と言われる新型コロナ陽性者の感染爆発のタイミングが一致することは、かなり早いタイミングから、医学や社会学者の専門家が指摘してきた事ですが、政府の無策さは見事にその二つのタイミングを一致させてしまいました。

世界中からアスリートが集まり、変異種のコロナウィルスも世界中も集まる現実の前に、水際対策の決定打と言われる「バブル方式」も、入国外国人アスリートの行動範囲や路上飲みも規制できていないなど、既にほころびを見せています。
もっとも、ここまで世界中の選手たちに負荷をかけ、ストレスをかけ、行動を抑止すれば、いざ開かれた大会では、ある種のホームタウンディシジョン(Hometown Decision)が自然に働き、きっと東京五輪は日本人選手がメダルを独占するのでしょう。
しかし、果たして「それ」は、本当の意味の勝利なのでしょうか?
丸川五輪相は、紋切り型の答弁に終始していますが、その「日本人メダル乱舞の夢の東京五輪」の犠牲となっているのは、いや、戦犯扱いされてきた「飲食店」ですが、五輪直前に来て、西村経済再生担当相が「口を滑らせた」緊急事態宣言への協力を拒否する飲食店への、金融機関の協力を含んで圧力の発言について、まだまだ問題は波紋を広げております。
ここへきて、問題はさらなる事実が明らかになってまいりました。

西村大臣の独断じゃなくて、菅内閣の発案だった。菅首相も加藤官房長官も把握していたことになる。つまり、これまでの両者の「知らなかった」というクダリは、全て演技、虚偽だったわけだ。

 世論の猛反発を受け、金融機関と酒販業者を通じて飲食店を締め上げる方針を撤回した西村コロナ担当相。だが、まったく反省などしていない。メディア・広告やグルメサイトを使って飲食店に圧力をかけるプランは「やる」と言っている。

豪雨の夜の酒盛りに続き…西村氏が渦中の山根氏と記念写真

 西村氏が当初、「飲食店対策のための関係機関への依頼」として列挙したのが金融機関、酒類販売業者、そしてメディア・広告だ。14日に開かれた衆院内閣委の閉会中審査で、酒の提供停止要請に応じない飲食店の広告の取り扱いについて、「順守状況に留意してもらうよう依頼を検討している」と説明した。

「ぐるなび」などのグルメサイトを使った監視システムは、2日の会見で発表。利用客に飲食店のコロナ対策をチェックさせる“密告奨励制度”を7月中にスタートさせる意向だ。

「まるで戦中の“隣組”で、疑心暗鬼を呼ぶだけの愚策です。メディアへの協力要請も、憲法が保障する言論の自由に抵触しかねませんが、メディアは票にならないし、黙って言うことを聞くとナメきっているのでしょう。この政権の体質がよく分かります」(政治評論家・本澤二郎氏)

 こんな卑劣な飲食店イジメを考えつく西村氏はどういう人物なのか。非難の的だが、自民党内からもかばう声は聞こえてこない。

「とにかく人望がない。上にはぺこぺここびへつらって、年長者でも格下の相手には偉そうにする。安倍前首相から官房副長官に抜擢された時も、先輩格の杉田副長官を自分の部屋に呼びつけて“オレの方が格上だ”と言わんばかりの傲慢な態度を取っていたことは有名です。メリットがない相手とは話しもしない。党内でも、内心は『早く辞任してくれ』と思っている人が少なくないでしょう」(自民党関係者)

 3年前の西日本豪雨の際も、安倍前首相を囲んで「赤坂自民亭」と称する宴会に興じる写真をツイッターにアップ。安倍前首相にゴマをするつもりが炎上し、総スカンを食らった。


日刊ゲンダイデジタル

この記事によりますと、菅首相は、飲食店粛清の「預金封鎖戦略」に関して、事務方から説明を受け了承していたということになります。
飲食店狙い撃ちの自粛要請が、要請に留まらず「預金封鎖という粛清」に推移していたことは、西村発言の解釈から明らかであり、ここでも自民党上層部における「五輪ファースト」精神が伺い知れるわけです。
「その指令」が丸川五輪相からではなく、西村経済再生担当相から出てきた時点で、私どもは「国政全体」の遺稿を汲んでしまうのも自然なわけですが、これを追求しようという野党。とりわけ、第5波感染爆発と五輪の兼ね合い、調整などをどうするかを話し合おうと、臨時国会召集を持ちかけているのですが、政府自民党はこれに一切応じない姿勢をはっきり打ち出しました。

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