東野圭吾氏の『白夜行』は、もはや伝説的にさえなりつつあるドラマ化や映画化によって、誰もが「純愛大作」だと思い込んでしまっているかもしれないが、原作である小説に限って言うのであれば、そもそもロジカルでクレバーな東野圭吾氏による「計算されつくした実験小説」であり、あえてここで、面倒くさいまでに正確にジャンルを冠するのであれば「大藪晴彦的 ピカレスクロマン ハードボイルド 性別逆転実験ミステリー」である。
うん、書いている僕も、何が書きたいのか分からないのだけれども(笑)、でも、こう記述するしかない。
生真面目な『白夜行』ファンの皆様には大変申し訳ないが、この作品は決して「正統派の純愛ロマン小説」でも「運命と戦う一人の少女と、それを見守る騎士の少年の、二人の間で結ばれた固い絆」というような、甘い淡いジャンルではないのだ。