さて、今日はゴジラのソフビキットの紹介がてら、ガンプラならぬ、ゴジラソフビキットぶらり旅です。
今から30年前、僕は今と同じ町内の、もうちょっと広いアパートで、亡妻さんと二人暮らしをしていた。
その頃の、巨大ブラウン管テレビの上には、90年代頃をピークに、マニア・モデラー筋でブームだった「ソフビキット」の、ゴジラやウルトラマンや、ガメラ等が並んでいたのである
これらは、その後の「事件」を境目に、全て断捨離させられ、手元から去っていったものだが、どれもとても出来の良いキットで、丁寧に作業すれば誰でもハイクオリティのガレージキットが手に入るいい時代であった。
時代は今や完成形フィギュアの時代になり、ソフビ製ガレージキットもロストテクノロジーになりつつある。
しかし、僕はこのキットが好きだった。
……と、先日つい、フッと気になってこのキットが気になって、ネットで検索をかけてみたところ、そもそもの開発発売元である、ビリケン商会というメーカーが、現在進行形で元気に活躍されていて、しっかりサイトをリアルタイム更新で運営していることを知った。そして、そこで奇遇にも、このキットを見つけてしまったのだ。
GODZILLA 1954(初代ゴジラ) ビリケン商会 リアルモデルキットシリーズ
ソフビ製ハマハヤオ(浜勇夫)原型 サイズ:275ミリ 6500円
ビリケン商会とは、2021年に45周年(1976年創業)を迎えた、怪獣やアンティークSFキャラのガレージキットとしては老舗のメーカーであり、アンティークに関してはトイの販売店も兼ねている。
この界隈ではM1号社と並んで、知らぬ者はモグリと言われる、格調高い最高峰メーカーである。
今回のメインテーマのゴジラキットは、そのビリケン商会が1993年11月に発売した、ハマハヤオ氏原型の名作キットのリバイバル販売。
資料としては1993年12月『ホビージャパン12月号別冊 ゴジラ 超獣伝説』において「ビリケン商会 ソフトビニールキット『初代ゴジラ』製作・ハマハヤオ」と紹介されているので、どれだけ当時のビリケンとハマハヤオ氏の評価が高かったかが分かるだろう。
なので、前のアパートに飾ってあった同品も、この1994年時の販売で買ったことは間違いがない。
そのビリケン商会は、率先して現代アートのギャラリー等も、このコロナ禍の中、可能な限り開催しているが、そこでのサイトを閲覧していると、少し前まで、この初代ゴジラが、なんと再販されている事実を知った。
実はこの業界界隈では、ガレージキットは再販の機会は殆どなく、あっても気づけないパターンが多い。ビリケン商会とて、それほど頻繁に再販を行っているわけではない。僕がこのタイミングで知れたのは、かなり僥倖だった。
しかし、改めて確認してみると、再販時期からは少し時間が経っている。売り切れ必至の伝説アイテムだけに、もうすでに売り切れていて当然のタイミングだった。
なので、僕はダメもとでビリケン商会に電話をかけてみた。
電話口で対応してくれた女性社員の方は、大変親切で、いきなりの問い合わせにも真摯に応対してくれた。
そしてなんと、予想通り在庫は既に完売だったが、店頭販売品が一つキャンセルになったので、通販は出来ないが、店舗まで来てくださるならお取り置きしておきますと、もちかけてくださったのだ。
コロナ禍で、ゴジラソフビを買うだけに外出というのも少し迷ったが、店舗の場所を聞いて運命を感じた。
なんと、ビリケン商会の店舗は、僕が少年時代に通い詰めた青山にあり、あろうことか、店舗の場所自体、僕が6年間通っていた青山の小学校から、一本道で歩いて数分のところにあることが分かった。
もう迷う理由がない(笑)
すぐさま予約を入れ、翌日すぐさま僕は青山に向かった。
青山、表参道は、銀座線と半蔵門線が両方通っているが、僕が小学校の頃は、まだ半蔵門線は開通していなかった。中学生になったころに開通したのではなかったか。
陽光溢れる春の日差しの下、50年近く昔を通った道を歩く。
表参道は不思議な街だ。
下町ほどではないが、程よく伝統文化が遺されている部分も多く、一方で流行や文化の流れの最先端をつかみ、次々と街並みが変わっていく。
僕が通っていた小学校のすぐ向い近くには、前衛建築的なビルが光り輝いていて、どうやらそれは2000年代初頭に進出してきた、世界的ブランドメーカー・PRADAの青山直営路面店であるようだった。
最先端の街・表参道でもひと際目立ち輝くその建物の設計は、スイスの建築家ユニット ヘルツォーク&ド・ムーロンによるものだそう。
その後も、一度母校の前に出て、そのまま渋谷方面へ向かって高級住宅街を歩き進む。