前回は『『犯罪・刑事ドラマの40年を一気に駆け抜ける!(70年代をナメるなよ)』Part3』
『西部警察』 (1979年~1984年)はスタートと同時に、いきなり前後編でそのタイトルも『無防備都市(脚本・永原秀一 監督・渡辺拓也)』と銘打って、まずは石原プロが五千万円の巨額をかけて、重量35t、35mm重機関銃と125mm砲を搭載した「謎の装甲車」を製作。番組開始と共にこの謎の装甲車が、銀座から国会議事堂へ向けて暴れ走った。
この謎の装甲車は「テロリストによって米軍から盗まれた、最新鋭の特殊戦闘用装甲車 レデイ・バ-ド」という設定。
こいつがとにかく、パトカーをひき潰すわ、砲弾は乱射するわという暴挙を繰り返す。
これに対して、渡哲也率いる大門軍団は「ダンプを特攻させる」「ダイナマイトで吹っ飛ばす」「落とし穴に落とす」「とりあえず重火器を乱射してみる」「舘ひろしがハーレーで、装甲車の前方を蛇行運転する」という、ほぼ既に「都心に現れたゴジラを迎撃する作戦」で、これを鎮圧するという物語(そういや、この話の脚本を担当した永原秀一は、1984年に復活した『ゴジラ(監督・橋本幸治)』の脚本も手がけることになった)。
こうなるともう既にこれはこれで、今まで語ってきた刑事ドラマとは、全く違う方向と角度で「やるせない」方向へと、ものすごい速度で暴走し始める。 『西部警察』は、日産自動車がタイアップを務めていたので、このドラマでも、主に警察車両の製作や貸し出しで協力。というか、そこで登場する大門軍団用特殊車両「マシンX」だの「スーパーZ」だのは、ネーミングで既にゴジラ迎撃兵器のようなニュアンスをかもし出しているとおり、その天井やサイドビューなどに「どう見てもレーザー砲かキャノン砲にしか見えない放水砲塔」を供えたりしているものだから、放水鎮圧のシーンでも、誰がどう見ても砲撃にしか見えないという絵面を展開。
この時点で、もはや石原軍団は「国家と権力に楯突く奴は力で黙らせろ。殺せ、砕け、爆破しろ」という、慎太郎思想で機能していたものと思われる。