二人の、いや18人の、いやその球場にいた数万の人生が交錯した中、ドリームボールは武藤によって打たれ、白球はスタンドに消えていった。
武藤の最後を見届け、自分が何もかもを失ったことを認めた勇気と、野球人としてはもう使い物にならなくなって、去っていった武藤の背中。
ここまでは、野球少年だった僕の記憶と一致した。
今回、縁があって単行本を読み直して、一騎当千のアンソロジー物語も含め「そうだったそうだった」と子どもの頃の思い出を蘇らせて読みふけった。
実在選手として江夏、金田、谷沢、衣笠、野村が『野球狂の詩』にはいて、柴田、高田、堀内、王、長嶋が『侍ジャイアンツ』にはいた。