我が再現特撮ではここしばらく、少し大掛かりな特撮が続いたので、今回は久しぶりに、パーマネントセットで撮影した作品をお届けする。
冒頭、ラゴンが夜の海で船を襲うカットは、水を使用した特撮プールで撮影した。
船は1/700ウォーターラインシリーズの春日丸。ラゴンの腕には原爆を接着してあり、目もフォトショで光らせてある。
「白い光跡」が海を進むシーンは、青セロファンの海面に、フォトショで光跡を描き込んだ。
ラゴンが暴れて、ウルトラマンと対決する葉山一帯のシーンは、青空背景・草原土台・緑山の組み合わせセットで行った。
ラゴンの光線、ウルトラマンのカラータイマーや、カットによってはラゴンの目なども、フォトショで描画してある。
ビートルは操演で撮影、ビートルやラゴンの爆発、スペシウム光線などは、バンク用カットを使用している。
ラゴン
身長30mに巨大化した海底原人・ラゴンは、怪獣ソフビなどを展開しているフィギアメーカー・マーミットから出ている、怪獣ソフビシリーズ「世紀の大怪獣シリーズ」の中の、「怪獣天国ベビー」ラゴンを使用した。
ラゴンは、バンダイの旧スタンダードサイズソフビでは、最後まで発売されなかった怪獣で、最近ではガレージメーカー各社から、フィギアが発売されている。
今回は、数ある第三メーカーのラゴンフィギアの中から、マーミットの怪獣天国ベビーを選択した。
ラゴンは『ウルトラマン』(1966年)の怪獣としてよりも、『ウルトラQ』(1966年)怪獣としての認知度が高い。
『ウルトラQ』怪獣は、ただマイナーなだけではなく、マルサンの呪縛とでも言えばいいのだろうか、当時のマルサンソフビのもたらしたインパクトが根強く残っており、それゆえ、現代のシーンで第三メーカーから商品化されるときでも、マルサン当時を彷彿とする、ディフォルメマスコット的なアレンジか、それとは真逆な、高級嗜好でリアルな方向性で、実物に忠実に立体化した商品かの、極端に二分される傾向がみられる。
前者の典型はM1号やノスタルジックヒーローズの展開していたソフビ商品であろうし、後者はウェーブのガレージキットなどの他は、X-PLUSが出している「大怪獣シリーズ」などが典型であったりする。
一方マスプロメーカーのバンダイは、食玩の「怪獣名鑑」やソフビ道、HGガシャポンウルトラマンなどで、ラゴンを次々商品化し続けていたが、どれもこれも決め手にかけるディフォルメ・大きさであった。
大怪獣シリーズやガシャポンだと、リアルである反面、バンダイソフビサイズのウルトラマンのウルトラアクションヒーローと並べたときに、大きすぎたり小さすぎたりと、サイズ差が極まってしまい、しまらない画面になることを覚悟していたところ、ヤフーオークションで念願のアイテムにめぐり合えたのである。
そこで見つけたアイテムとは、マーミットの「怪獣天国ベビー」である。
この商品は、大きさもほぼ旧バンダイサイズのウルトラマンと同じで、マルブル的ディフォルメで有名なマーミットの商品にも関わらず、リアルとディフォルメの混ざり具合が絶品のバランスで成り立っている。
そもそもラゴンには、『ウルトラQ』版の乳の出た女性タイプと、『ウルトラマン』に登場した男性タイプの二種が存在する。
今回マーミットが立体化したのは前者であり、女性版ラゴンゆえに、乳の大きさが多少は目立つのだが、何しろ、そこそこのリアルさで、腕や脚が可動するソフビで、大きさはバンダイソフビとほぼ同じ、しかも安価とくれば、今回のラゴンの演出にはベストマッチな選択だった。
(ちなみにバンダイのウルトラ怪獣シリーズソフビは、2013年にサイズを縮めてシリーズをリセットし、それまでの商品を全て絶版にして、改めて再スタートを切るが、その再スタート時には、「ウルトラ怪獣シリーズ 11 ラゴン」として、『ウルトラQ』からの商品化として、スタートラインナップの一角を飾った)
さて、マーミットのラゴンに関してではあるが、今まで書いてきたように、リアルとディフォルメのバランスは絶妙で、関着による四肢の動きのギミックも申し分ない。
股間の隙間の開き方が、少しブルマァクっぽいかもしれないが、手の表情の付け方が秀逸で、塗装も劇中の雰囲気を上手く再現している。
とはいっても、所詮はマルブルタイプのソフビの塗装。
イエローの整形色に、軽くメタリックグリーンのスプレーを吹いただけなので、今回はくるみ塗装をしてみた。
全身をまず、濃緑色とデイトナグリーンとキャラクターブルーを混ぜた、混色で塗装して、身体中のヒレ部分と手のひらはセームカラーで塗装する。
ヒレの部分の色と体色を混ぜていき、体表にはルマングリーンを基調とした、薄い黄緑のグラディエーションをかけていく。
眼球は、マン版ラゴンに準拠して黄色。瞳は黒でさらにその中心が白。口は、口中のピンクはそのまま活かして、唇と舌を赤で塗装し、牙だけ白でリタッチした。
仕上げは頭部を中心とした墨入れ。
全身はつや有りのまま仕上げてみたが、いかがだったであろうか。
また、ラゴンの身体に張り付いていた原子爆弾は、ジャンクパーツとプラ棒、そしてプラ板で再現した。