1967年の元旦に、飯島ウルトラマンが子ども達へもたらした奇跡

若槻文三
飯島敏宏
高野宏一

「遠い宇宙の彼方から、新しい彗星がやってきた。赤い尾を引いたそれは、ツイフォンと名付けられた。ツイフォンは、地球を目指して刻一刻と近づいている。そして、電子計算機がはじき出したツイフォンの軌道は!」

「なんですって!? 地球と衝突する!?」

「新彗星は本当に地球とぶつかるんですか?」

「今のところ83%の確率だ。最悪の場合、地球は消滅するだろうな」

「ツイフォンの軌道が、さらに詳しく計算された。そして僅か、ほんの僅かの差で、地球と衝突することは免れることが解ったのだが……」

「それで、一番地球に近づいたときの距離は?」

「55860km」

「あぁ~良かった!」

「何を言ってるんだ。5万kmといっても宇宙では紙一重の差だよ?」

「物凄い大気の移動や、新彗星の引力でどんなことが起こるかわからんぞ?」

「55860kmの距離で、ツイフォンが地球とすれ違うときに起きる異変を、いろいろなデータによって計算した結果、まず大きな被害は受けないだろうという答えが出た。新彗星ツイフォンから、次第に強く地上に降り注いでくる宇宙線の作用で、水素爆弾が自然爆発する危険があることがわかった。

地球防衛委員会は、水爆を持っている全ての国に対して、ただちにその安全を図るように指令した。……しかし!」

「そうだ! 以前オホーツク海で、廃棄処分になった旧型の水爆が、6個紛失した噂がありましたね!」

「オホーツク海事件の後、日本アルプスで強烈な放射能が検出されたことがあった」

「ということはつまりだな。水爆を飲み込んだ怪獣が日本アルプス付近で姿を消した……」

「万歳! ばんざーい! 助かったぞ!」

「ばんざーい! やったぁ!」

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