前回は『犯罪・刑事ドラマの50年を一気に駆け抜ける!(70年代をナメるなよ)』Part10


 そんな流れの中、かつて『太陽にほえろ!』『俺たちの勲章』(1985年)等々で、日本刑事ドラマ界のオピニオンリーダーだった、東宝・日本テレビサイドは、東映のあぶでかブームを脇目で見つつ、自身は抜け出せない迷路の中で逡巡をしていた。
 この時期どうにもこうにも『太陽にほえろ!』にテコ入れは効かず、メンバーを一新して『太陽にほえろ! PART2』(1986年)などで粘ってはみたが、時代の流れには逆らえず、1987年に15年間の歴史を刻み込んで『太陽にほえろ!』は終了。


 東宝・日テレ路線は『あぶない刑事』ブームに取り残されまいと、それでもなんとか、その『太陽にほえろ!』で延々メインを勤めあげた小川英の脇に大川俊道、柏原寛司を配置して、長谷部安春、木下亮の演出ローテーションで『太陽にほえろ! PART2』直後から、鹿賀丈史をリーダーにした群像刑事ドラマ『ジャングル』(1987年)を続けて製作したが、いかにタイトルや背景設定を今風ヨコモジにしようとも、太陽スタイルの集団刑事群像路線では、もう勝負にならないと身に染みたのだろう、こちらも『NEWジャングル』(1988年)まで粘ったものの、どうにもならなかった。

刑事ドラマの半世紀を追う大好評連載。今回は『ジャングル』から『刑事貴族』
『ジャングル』放映直前の新聞広告

 しかし、東宝のその努力と積み上げてきた経験は、決して無駄には散りはしなかった。

東宝・日テレのコンビは鉄壁でもあったので、そこで『太陽にほえろ!』的群像刑事ドラマに、『あぶない刑事』の主役の片割れである、館ひろしを主役に据えることで、二大日テレヒット刑事ドラマをミックスする企画に辿り着いた。

 そこで生まれたのが、東宝・日テレ製作で、舘ひろし主演の『刑事貴族』(1990年)という刑事ドラマだった。

刑事で貴族というタイトルの組み合わせが、初期は謎過ぎた

 ちょうど東映の『あぶない刑事』シリーズの終焉と入れ替わる形で地味に始まったこの作品だが、「リーダーを主人公に据えた、アクションも盛り込んだ群像刑事物」という意味では、東宝が地盤を固めてきていた『太陽にほえろ!』『ジャングル』路線を、舘ひろしのキャラを活かした「オシャレで粋なキャラの刑事物」という意味では日テレ自局の『あぶない刑事』シリーズを、それぞれ良い按配でリミックスさせる形になり、大ヒットだの社会現象だのとは到底いえないものの、そこそこの人気ドラマに成長した。
 『刑事貴族』は東宝製作ではあったが、そこはいろいろ筋を通したり、大人の事情を絡ませたりすることで、脚本陣には柏原寛司、大川俊道、峯尾基三といった、主にこれまで『太陽にほえろ!』活躍してきたライターをざらっと揃え、26話『宮本課長の災難』が『太陽にほえろ!』32話『ボスを殺しに来た女』の、31話『刑事たちのいそがしい夜』などは、『太陽にほえろ!』の36話『危険な約束』の、それぞれリメイクだったりもする。

演出も、長谷部安春と、その弟子・村田忍(初監督作品は東宝の『誇りの報酬』)をしっかり組み込むなど、随所で『あぶない刑事』人事と、東宝人事を上手く絡ませることで安定した視聴率を得るに至った(まぁ館ひろしと松方弘樹地井武男なんて顔ぶれで、「貴族」とか言われても……という意見は当時から確かにあったわけだが(笑))。

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