『あとがきに蛇足を付け足す備忘録』
「あの時代の刑事ドラマ」といえば、外せないネタも多くを取りこぼしてしまった。
第二期ウルトラシリーズのTBS・橋本洋二と、『仮面ライダー』(1971年)でライバル同士だった東映・平山亨がタッグを組んでプロデュースした、子ども向け30分刑事ドラマ『刑事くん』(1971年)。佐々木守・市川森一・長坂秀佳がローテーションしている刑事ドラマなんて、子どもにはもったいないくらい、豪華でしょうが(註・筆者は当時現役の子ども)。
同じTBS子ども向け30分ドラマだった『刑事犬カール』(1977年)は、佐々木守がプレ脚本を書いて、大映の巨匠・湯浅憲明が監督をするという布陣だった。今や「竹中直人の奥様」である木之内みどりは、筆者の少年の頃の姫君であった。
一方『ロボット刑事』(1973年)『宇宙刑事ギャバン』(1982年)『宇宙刑事シャリバン』(1983年)といった、上原正三脚本による「刑事と名のついた東映変身ヒーロー物」が漂わせる「やるせなさ感」もジワジワくるものがある。
同じ東映が製作した「それ、刑事ドラマとは違うから!」でいうならば、土屋斗紀雄・橋本以蔵を脚本に起用して、宇宙刑事シリーズで名を馳せた田中秀夫がメイン監督を務めた『スケバン刑事』(1985年)シリーズが巻き起こしたブームが「刑事ドラマ不遇の時代」を支えたことも忘れちゃいけないだろう(そのまま東映で『少女コマンドーIZUMI』(1987年)やら『花のあすか組!』(1988年)果てはユニオン映画で『セーラー服反逆同盟』(1986年)等の派生企画ドラマを生み出して、一時的にはジャンルになってたわけだし……)。
忘れてたといえば、大映ドラマの黎明期の傑作『夜明けの刑事』(1974年)『新・夜明けの刑事』(1977年)『明日の刑事』(1977年)という「元祖・地味な人情刑事ドラマ」のことも書き損ねてしまった。
それまで、あくまで「コント55号の二郎さん」だった坂上二郎を演技派へ導きつつ、脇を固めるレギュラーを鈴木ヒロミツ、石橋正次、谷隼人、石立鉄男、宇津井健など「いかにもな大映ドラマ陣」で構成。
文芸には山浦弘靖、演出には、手銭弘喜・佐藤肇と共に、土屋統吾郎まで混じっていたが、土屋監督を述べるのであれば、ある意味「元祖・日本のバディ刑事ドラマ・大映テレビ版」ともいうべき『噂の刑事トミーとマツ』(1979年)に関しても、触れねばならなかったろう。
そういえば「大映テレビの刑事」といえば、石立鉄男の悪徳刑事が毎晩12時ちょうどに突然登場しては、薄幸のヒロインに向かって「おい! 薄汚ぇシンデレラがっ!」と罵る大映ドラマは、さて、なんだったであろうか? 誰か覚えてる方、教えてください(笑)
(この項 終わり 市川大河 2021年7月執筆 文中敬称略)