それは、既に『秘密探偵JA』『ケネディ騎士団』等、西部劇や第二次大戦戦争、現代スパイ等を題材に、アクション漫画家としては実力派で定評が高まっていた、漫画家・望月三起也氏による、後の氏の代表作でもあり、漫画界でこちらも金字塔になった作品『ワイルド7』であった。
『ワイルド7』は、現代版新選組と、白バイ版『七人の侍』(1954年)をイメージコンセプトに持つ現代白バイ漫画で、元々は死刑囚に匹敵する犯罪者たちが「本当の悪人を討つことが出来るのは、悪人だけ」というモチベーションで集められ、警察では最高峰に位置する階級と、最高峰に(トンデモ的に)カスタマイズされた白バイを与えられ、裁判も司法手続きも全て飛ばして、法で裁けぬ極悪人であると認められた場合には、逮捕ではなく退治するという任務を負って、悪に噛みついたら離れない猟犬のように、野生の魂と鍛えた体で戦い抜く、7人の青年警官の活躍を描いた、アクション漫画である。
この『ワイルド7』も大ヒット漫画になり、1972年には国際放映制作で実写版ドラマも放映されて大ヒット。途中、連載休止期間もあったが、最終的には連載期間は10年に及び、事実上、松本零士氏の『銀河鉄道999』と共に、少年キングを支え続けた大黒柱となっていた。
『ワイルド7』は、『009』とは違って、最後まで徹頭徹尾、アクションとバトルを貫いた漫画だが、そこで描かれる熱い魂と野性味は、様々な漫画に影響を与え続けた。
それはそれで、『009』とは別の話ではあるのだが、さて、ここで先ほど『009』で書き記してみた「少年キング初連載時の企画骨子」を、『ワイルド7』に沿って、今一度書き記してみよう。
「主人公は、元少年院に入れられるような“社会的悪の少年”で、少年が脱走した先で、謎の組織にスカウトされたところから物語が始まる。悪の側から抜け出してきた、個性豊かな性格と、一芸に秀でた特殊能力をもった戦士達(ヒロイン一人含む)が主人公と共に、お揃いのユニフォームに身を包みながら、一つのチームとして、悪と戦い正義を守っていこうとする、タイトルが数字で終わる作品」
全く同じだ。一字一句変わらない。まるでコピペだ。いや実際、今筆者は先ほどの文章をコピペしただけなのだが、これが驚いたことに、丸ごとそのまま、そっくり『009』にも『ワイルド7』にも当てはまるのだ(余談だが、『ワイルド7』『千金のロード』で、ワイルドメンバーはベトナムの戦場を駆け抜けたが、『009』も少年キング連載中には『ベトナム編』があった)。