現在の新型コロナ禍が始まったのは、2020年でも2月になってからであり、去年では、まだまだ一年丸ごとを包む出来事ではありませんでした。しかし、今年は年頭から緊急事態宣言下に置かれ、「金」メダルラッシュと自画自賛している五輪も、医療崩壊の最中に強行開催されたようなものです。
秋も終わりに近づくころ、二度のワクチンの成果で感染者数が激減して、このまま事態は沈静化へ向かうかと思われましたが、そのワクチン、しかもファイザー社製の物の抗体有効期間は、専門家によると4か月程度しか持続せず、三度目の接種、いわゆるブースターに至るまでは、欧米では6か月や、3か月で接種に踏み切っている国もあるのに、相変わらず我が日本は太公望姿勢を崩さず、ブースターまでは8か月を基本的に開けると宣言したまま、またしても大都市部を中心に、感染者を徐々に増やしながら年を越そうとしているのが現状です。


そこへきて、新たな強敵、オミクロン株が発覚。年内には早くも都市部での感染が発見報告され、またもや我が国の水際作戦が崩壊したわけですが、そう考えるとやはり、この、新型コロナという「病」との戦いは、まだまだ続く、少なくとも、今年は元旦から始まり、今日この日の大晦日までも国民生活を脅かし続けているという意味では、この一年は、やはり漢字一文字で表すには「病」を用いるべきだったのではないか。根拠の希薄な希望より、明日を生き抜くための現実認識こそが、「今年の漢字」には必要だったのではないかという思いは、かなり強かったりします。


聞けば、前回1964年の東京オリンピックも、関東地方などでコレラ流行の中で強行されたとは聞きますが、それは決して「縁起の良い逸話」でも「幸運を呼ぶジンクス」でもないはずです。


一方で、「国が抱える病」も深刻化する一方です。
悪夢を越えた、地獄の安倍政権が遺した、森友、加計、桜を見る会問題は、安倍晋三元首相自らが、自分か妻が関与していたら、議員辞職も辞さないと吹聴しておきながら、昭恵夫人の関与や利益供与が明らからになっても、手のひらを返したかのようにその発言がなかったかのように振舞い、逃げるように退陣しました。
その上で、元法相の河井克行衆院議員と妻の元案里参院議員が、公職選挙法違反で逮捕・起訴された大規模買収事件も、安倍元首相の大掛かりな関与の疑惑が囁かれる中、公判が進行中です。


また、その森友学園への国有地払い下げ問題で、決裁文書改ざんを苦に自殺した財務省近畿財務局の(当時)赤木俊夫さんの妻雅子さんが、国と同省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めていましたが、国は自殺に対する損害賠償責任を認めて一億円の支払いをのむ落としどころになりました。これで国を相手どった裁判は終わってしまうことになり、法廷での証拠開示や当事者の証言など、雅子さんが求めてきた真相解明は、全て闇の中に葬り去られてしまうのではないでしょうか。
国が、これ以上の情報開示を拒否する権利を、一億円で買ったと批判されても仕方がないのです。

Yahoo!ニュースによりますと、時を同じくして、国土交通省が建設業の受注実態を表す国の基幹統計を無断で書き換えていたことがわかりました。調査に寄りますと、国の指示を受けた都道府県の職員らが書き換え、受注状況が水増しされていたことになります。


本当に、この国の「病」は、どこまで続くのでしょうか。
国会や予算委員会や永田町では、昭和や20世紀であれば、一言で議員辞職、内閣不信任案ものになるレベルの失言や暴言が、与党閣僚たちの口から放たれ、それをコロナに疲れた国民が、厭世気分で許容してしまう空気が支配してしまっています。


クリスマス前の23日には、政府分科会尾身茂会長が緊急会見を開き、前述したオミクロン株に関して「急速に感染拡大は明らか」との声明を発表しましたが、このタイミングで尾身会長が登場してきて、危機管理を提唱する会見を開くことの意味が、どれだけの国民が分かるというのでしょう。この国は、それほど「病」んでいるのです。


私が沖縄という国を愛していることは、私のサイトや著書に触れた方々であればご存じだと思いますが、既に12月中旬までの間で、沖縄の米軍基地ではオミクロン株のクラスターが100人規模で発生し、海兵隊が動員される事態に発展しております。
同時に、新型コロナウィルスへの対抗策としては、感染・発症してしまった病人へ投与できる「経口治療薬(錠剤)」が、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を受けて、本格的に登場することになっております。
その薬品やブースター接種が、新型コロナの「次の波」への不安を払拭するのか、はっきりするのは2022年が始まってからになります。


また、現状の岸田政権が、公明党や維新の会などとどう連携をとって動こうとも、一度発症してしまった「病」に対しては、しっかりと根幹治療をせねばなりません。森友、加計、桜を見る会問題を始めとした、安倍政権、菅政権が遺した「政権党の病」を、健康に治療するためにも、私は今年一年を振り返った時、遺すべき漢字は「病」であると、そう断じる次第です。


さて、今日の多事争論はそんなところです。

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