さて、前回こちらのページで、新作小説の発刊のお報せをさせていただいたが、今回はちょっといろいろその新作小説に関して、書き記してみたい。

300回更新記事記念 新作小説『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』発行のお報せ

まずは肝心の発売日だが、まだ詳細は未定だが、8月上旬、販売はAmazonのみになるので、そこはどうかよろしく願いたい。
今回の表紙の画はこちら。
表紙画は前回も紹介したが、よりクオリティを高めるため、画を描いてくれた春曄女史と、デザイナー氏によって各所がブラッシュアップされている。

さて、今回は、より予告編的にこの小説の内容をご紹介しようと思う。
タイトルを分解すればわかる通り、この小説は『折口裕一郎教授の怪異譚』シリーズの商業作品一作目である。
この小説は(結果的にプロローグ扱いした)序盤の短編『葛城山』と、メインの長編『紀伊』の二部構成で成り立っている。

まず『葛城山』パート。正式なサブタイトルは『奈良葛城山の土蜘蛛伝説』
葛城山というのは、実在する山の名前ではあるが、大坂と奈良をまたぐ大和葛城山と、大坂と和歌山をまたぐ和泉葛城山に別れているが、今回は小説ということで、特定の実在山を舞台にすることで問題が起きるのは避ける意味で、一つの「葛城山」として、あやふやなまま両方を兼ねる存在にしてある。
そこで主人公のヘタレ民俗学教授「折口くん」は、葛城山所以の土蜘蛛と遭遇する。
筆者の場合、ここは小説の特権と思い、「妖怪が現れた」と文章を書いたとしても、『ゲゲゲの鬼太郎』『百鬼夜行』に出てくるような異形の化け物なのか、見た目は人と変わらないのか、描写的にはわざと曖昧にしてある。
土蜘蛛と葛城山の関わりは、『能楽百番』等でも詳しく描かれている。
もっとも、メタ的なことを言ってしまえば、なぜ処女作の冒頭の短編が、葛城山が舞台で土蜘蛛が出てくるのかといえば、筆者の亡母が奈良県の出身であり、葛城山とも近しい環境で育った故郷であったこと。また、筆者は現在日本SF作家クラブの一員であるが、そのクラブの大先輩であり、物故会員であられる栗本薫氏が80年代に書いた『魔界水滸伝』という、クトゥルーをモチーフにした伝奇小説で、葛城山と共に土蜘蛛が登場したことへのリスペクトがベースになっている。

後の展開や謎は、どうかお読みいただいて判断していただきたい。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事