タカトクの合金玩具ドルフィンⅡ世号

ちなみに、同時期のタイアップを兼ねた、「週刊少年サンデー」連載分の、新規漫画連載『サイボーグ009』では、石森氏の筆によって、ストレンジャーやドルフィンⅡ世号も、初期にだけだが登場している。

同時期の漫画『サイボーグ009』作中より
同時期の漫画『サイボーグ009』作中より

時代の波もあり、元々繊細なヒーローでもあった島村ジョーは、サンライズ版ではオープニングから涙を流す等「機械の体だからこそ」感情表現が強調されて描かれていることも作劇を分かりやすくしたのか、放映されたシリーズへの当時のアニメファンの評価は高く、特に石森章太郎氏自身が作詞して、すぎやまこういち氏が曲を作ったオープニング主題歌『誰がために』は、歴代009主題歌で今でもこれをベストと推す人は多く、曲とマッチした金田伊功氏のアクション描写と相まって、オープニングの人気が高いことが未だに伝説として語り継がれている。

この連載肝心のデザイン面に関してを、フィギュアを紹介する前にいくつか。
007のブリテンが、子どもではなくスキンヘッドの中年で描かれるようになったのは本作からだということは上でも書いたが、全体的に、キャラクターデザインの芦田豊雄氏的には、当時の少年サンデー期直前頃の、最新の漫画版をアニメ用にブラッシュアップしたのだろうと伺える。
時代ゆえに、完全に石森タッチをそのまま動かすというわけにはいかなかったが、過去にはなかった挑戦的な『009』になったことは確かである。
その一方、アニメの人気の高まりを受けて、世界進出を狙った劇場用アニメが、改めて東映動画で作られることになり、スタッフや声優の一部が異なったりの混乱を生んだが、その中で、関係した外国人スタッフからの「欧米で売り出そうとするならば、008のピュンマのデザインは、黒人差別と受け取られる可能性が高いので、変更した方がいい」との助言を受け、石森氏自らがピュンマを「黒人だが、ハンサムでリアル」なデザインにリファインして、その変更は石森氏存命中は頑なに守られ、逝去後に作られた『サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER』(2001年)等でも踏襲されている。
なので今回フィギュアで再現した9人は、あくまで「TVサンライズ版の9人」ということになるが、008だけ2001年版の玩具の頭部を挿げ替えれば映画『サイボーグ009 超銀河伝説』(1980年)の9人と言い切ることも可能であろう。

さて、ここらでようやく、カスタムフィギュアの解説に入ろう。
以上のような事情から、008だけは東映動画時代と同じフィギュアの頭部を使っているものと、商品をリペイントした『超銀河伝説』版の両方を用意したが、後は殆ど、2001年版の『00ナンバーボックス』フィギュアのまま、リペイントをしたものが多い。2001年版と比較して、リペイント等の変更を行ったキャラだけ書き記していく。

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