前回は「三留まゆみ×市川大賀 第四夜「三留まゆみと70年代から角川映画へと」」
大賀 あぁ確かに、『八つ墓村』でも『悪魔が来りて笛を吹く』でも、津山三十人殺し事件や帝銀事件など、実際の事件を枕にしてみたり、いわゆる「カストリ雑誌」的に俗っぽいんですよね、横溝正史文学は。
三留 そうなんです。猟奇という意味では、江戸川乱歩の方が猟奇的だし、すごく不健全だしね。小学校の時『孤島の鬼』を読んで夢中になって。当時の小学校では『少年探偵団』とかポプラ社からいっぱい出ていたじゃないですか。『ルパン』もあったし、『ホームズ』もあったし、みたいな。でも乱歩作品はそのころから、私は大人向けのを読み始めるようになっていて。だから私は、その当時クラスの子達が夢中になって読んでた(集英社)コバルト文庫とか、まったく読んでないのね。(小学校)高学年ぐらいになるとみんなで(コバルト文庫の)貸し借りを始めたりして、「これいいよ」とか言い合ってる脇で、私は一人で乱歩を読んでいるみたいな(笑)