本話の特撮を解説するにあたって、まず感謝しなければいけないのが、食玩HDMウルトラホーク2号・3号や、食玩名鑑シリーズ ウルトラメカニックス 出撃スタンバイ編のホーク2号、そしてなにより、2007年末に発売された、コンビニ一番くじウルトラセブン編での、ステーションホーク等といった、セブンメカのアイテムの充実さだろう。

本話の特撮場面のポイントは、実はセブン対アイロス星人ではない。

クラタ隊長が率いた、ステーションホークの編隊全滅の悲劇性。

そしてそこから繋がる形になる、クラタとキリヤマによる、ホーク1号・3号の連携攻撃が、本話の見所であり見せ所であった。

しかし、本ブログ開設を決意した2007年初頭の段階では、撮影に使えるステーションホーク1号のアイテムはどこにもなく、また、ウルトラホーク3号のアイテムも、クオリティの高い物は存在していなかった。

本話の情緒的なエンディングを飾る、ウルトラホーク2号に関しても、極小サイズのミニアイテムしか、存在していなかったのだ。

これではメカの演出によって情感を漂わせる、本話の方向性を表現できない。

どうせアイロス星人のソフビもないことだし、むしろこの話自体を諦めるかと、半ば腹を括っていた2007年春に、バンダイからの食玩「HDM ウルトラ超兵器 -ウルトラ警備隊編-」の発売予告を知り、なんとか、本話再現演出を決意したのであった。

だが、さすがにステーションホークなどというマイナーアイテムは、さすがにどこを探しても、見当たりはしなかった。

それでも、ヤフオクを丁寧に巡回していれば、70年代に発売された、ミニ合金製のアイテムや、90年代に発売された、キャストキット製のガレージキットなどは見つかったが、どれも数千から万単位の、お宝アイテムになっており、とてもじゃないが、一回こっきりの出演メカに払える予算ではなかった。

仕方なく、ステーションホーク抜きでクランクインしたのが2007年の9月。

物語冒頭で重要な位置を占める、V3編隊全滅シーンを撮れないまま、一度は本話再現特撮は、クランクアップしたのであるが、2007年末のコンビニ一番くじにおいて、ウルトラメカフィギュア賞という枠内で、ステーションホーク1号・2号のアイテムがあると知り、これぞ運命かと実感した(大げさなと言うなかれ(笑)

本話冒頭は、食玩の宇宙ステーションV3のカットと、その一番くじウルトラメカフィギュア賞による、ステーションホーク1号の、アイロス星人円盤迎撃カットから始まる。

ステーションホーク編隊は、一機のアイテムを様々な角度から撮影した物を、複数レイヤーで合成して処理した。

地球圏に突入してからのホーク1号は、食玩ハイパーメカ版。

ホーク3号はHDM版を使用して、ランデヴーしているカットを製作。

登場するアイロス星人は、HGガシャと食玩ウルトラ怪獣名鑑版を併用。

セブンとは大きくサイズが違うので、両者が同一で写るカットでは合成処理。特に、セブンがアイロスを羽交い絞めするカットは、いずれ『魁!オモ写塾』で解説する予定なので、興味がおありの方はそちらをお読みください。

セブンの目と、カラータイマーやエメリウム光線と、アイロスの光線はフォトショップ処理。

翼をたたんで、アイロスがセブンの攻撃を防ぐカットは、翼を別に撮影したレイヤーを重ねて描写。

回転するカットでは、移動ブレぼかしをかけて回転を再現している。

ラストのホーク2号によるクラタの帰還は、発進シーンを食玩「ウルトラメカニックス 出撃スタンバイ編」で、宇宙空間飛行シーンを、食玩「HDM ウルトラ超兵器 -ウルトラ警備隊編-」で、それぞれ撮影した画像を使用した。

アイロス星人

宇宙ステーションV3を撃破して、地球に侵入してきたアイロス星人は、HGガシャポン「HGウルトラマン38 コンプリートスペシャル1」のアイロス星人と、「ウルトラ怪獣名鑑 ウルトラマン&ウルトラセブン2nd. SEASON EPISODES」こちらでリリースされた「V3から来た男」のアイロス星人を、併用して撮影した。

アイロス星人も不遇なキャラクターであり、マルサン、ブルマァク、旧ポピー、バンダイと続いてきた、円谷プロ正規版権マスプロメーカーソフビでは、過去に一度も発売されてない。(2013年に旧ウルトラ怪獣シリーズは終了して、サイズ縮小の新規シリーズに移行したが、そちらでも発売されていない)

不遇といえば、本話を書いた脚本家・市川森一氏は、セブンで7本を執筆したが、そこで登場させた宇宙人は、歴代マスプロメーカーからは一体もソフビ化はされていない。

そこで本ブログにて、こういう時に登場するのが第三メーカーのソフビなのであるが、今述べた、市川森一セブン宇宙人のソフビ化は、ベアモデルというメーカーが率先して行っており、ペテロ、プロテ星人などと共に、アイロス星人も発売している。

しかし筆者的には、ベアモデルのソフビのディフォルメセンスが、今ひとつ、自分が望むバランスと一致しない感が強く、出来ることならベアモデルソフビは、使わない方向で行きたいのが本音。

また、セブンの戦闘は、前作『ウルトラマン』(1966年)とは、明確に方向性を変えたい意図があったためか、取っ組み合うような肉弾戦よりも、知能を持った宇宙人同士の、超能力合戦の様相を呈することが多い。

つまり、カットごとにセブンと宇宙人を交互に写すコンテであれば、両者のフィギュアサイズを、必ずしも揃える必要もないのである。

また、アイロス星人のようなキャラの場合、デザインが特異で、人間型ほどにアクティブにポーズが変化するわけでもなく、固定ポーズのフィギュアでも演出が出来ると判断。

そもそも、ベアモデルのアイロス星人も、大きさこそスタンダードサイズとはいえ、可動に関してはほとんど期待できないことが分かっていたので、念のために、HGガシャポンと、ポーズの違うウルトラ怪獣名鑑版の、二つを用意して、カットによって使い分けることで、アイロス星人の演技として、見立てる方向で演出を行った。

HGガシャポンもウルトラ怪獣名鑑も、写実性という点では申し分ない。

若干、塗装の色や模様の解釈で、両者の仕上がりにギャップがあるが、どちらが正解というわけではなく、一長一短で引き分けといったところか。

もともと、HGガシャポンとウルトラ怪獣名鑑は、キャラがかぶる前提で企画が進行していただけあって、面白いことに、どの怪獣・宇宙人も、HGガシャと怪獣名鑑を並べてみると、必ず双方のポーズが、変えてあることに気づかされる。

例えば『怪獣無法地帯』のマグラは、HGだと直立しているが、怪獣名鑑だと腹ばいから、身を上げている状態で立体化されていて、逆に『恐怖の宇宙線』のガヴァドンBは、HGだと腹ばいであるが、怪獣名鑑では、ウルトラマンに圧し掛かろうとする状態で造形されている。

ポージングにほとんど変化を付けられない、アイロス星人でさえ、HGと怪獣名鑑版では、ご覧のように微妙にポーズを変えてある。

固定ポーズのフィギュアでも、このように異なった複数のアイテムがあれば、静止画像の連続性の中で、モンタージュ効果を上手く使うことによって、動きのある演出を、施すことが出来るのである。

今回は、この二つのアイロス星人アイテムを、共に無改造・無塗装で、撮影に使用している。

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