(株)ガジェットリンク代表・声優・平松広和氏をお迎えして語って頂く今回は「平松広和マイロードインタビュー・最終回「歳相応の役」と「幸せをもとめて」と」」
前回は「平松広和インタビュー・11声優業界編成とアイドル声優と」
――平松さんご自身は、『らき☆すた』等で「三十路を演じる」を越えて、『スーパーロボット大戦30』等で、あらためてダバを演じた今を前提としますと。この先も、(株)ガジェットリンクの代表として、当然責任はあるんでしょうけれども、今後の話として、声優という個人の表現者として、開拓してみたい新境地というのはありますか。
平松 今取り組んでるのは「歳相応の役」ですね。だから六十(のキャラの声)って、どういうものなんだろうなっていうところを、今ちょっと突き詰めて考えてはいるんです。三十代は全然できる(演じられる)んですけれども、六十歳っていう、身の丈にあった歳(のキャラ)ができないって、非常に辛いものがあるので、これを説得力があるキャラクターに(演技が)できないかなと思って、声の発声からはじまって、いろいろ考えてはいるんですけどね。
――でも、いわゆる「歳の声」と年代って、どんどん若くなってきていますよね。昭和の五十代、六十代は、本当にもう、老人の見た目や声でしたけど、今の時代は、俳優さんや一般の人を見ても、昭和の人達よりも、ずっと若くなっているじゃないですか。木村拓哉さんや阿部寛さんなんかももう五十代ですし、石原さとみさんや綾瀬はるかさんの三十代だって、昭和の女優さんだったら、もう母親役しか回ってこなかったですよね。
平松 そうでしょうね、うん。今日観た『ウルトラQ』(1996年)の『1/8計画』のオチのナレーションを思い出しました。
「古い記録によると、巨石文化時代の人類は身の丈十八メートル、身の幅が五メートルもあったという。現在の人類は、いつから、そして誰の手によって、どういう理由で小さくなったのか。それはまだ謎のままである」
『ウルトラQ』『1/8計画』ラストシーンナレーション(脚本・金城哲夫)