今回は『ウルトラセブン』(1967年)第3話『湖の秘密』をお送りする。

本話はセブン制作第1話でもあるし、この話はセブンを知る人にとっては、一番メジャーな娯楽編でもあるので、このエピソードに関しては、いつかやり直さねばならないと、必要性を強く感じていた。

今回、この話に再チャレンジできたのはやはり、湖畔セットの構築だった。

この湖畔セットは『呪いの骨神オクスター』『許されざるいのち』用に構築したセットだが、今回リベンジプロジェクトへの踏み出しを後押ししてくれた嬉しい要素でもある。

特に本話は、『ウルトラ作戦第一号』よりも湖の演出が目立つので、新構築の湖畔セットの効果が、より実感できた撮影となった。

まず冒頭は、発進するホーク3号。

格納庫はコトブキヤメカニカルチェーンベースで撮影。湖に到着するまで3カット。

ホーク3号のミニチュアも、ブログ発足当事は出撃!ウルトラメカセレクションしかなかったので、こういったメカを中心に演出するカットも、この一年半でのアイテムの充実のおかげである。

次は暗闇で気絶するダンに迫るピット星人。

名鑑シリーズのピット星人を夜間照明で撮影して、目をフォトショップで光らせた。

その次のダンはハイパーウルトラマンのフィギュアを撮影。続いての「ビデオシーバーの白衣のアンヌ」これが意外と今回の一押しカットかもしれない(笑)

ビデオシーバーの画面に、かつて『私が愛したウルトラセブン』(1993年)再現で使用した、インスパイア社製レジェンドヒロインセレクションの友里アンヌフィギュアを合成。

ちゃんと(でっちあげだが)白衣を着させて撮影した。

最近は、こういった特撮シーンではない本編カットを再現するのが楽しいことも多い(笑)

やがて湖に(ブルーの入浴剤を入れた)水を張った湖畔セットにエレキングが登場。

エレキングを見上げるダンのカットは、今回はあえて特殊な手法を使った。

本編ではこのカット(と、その後ミクラスとエレキングの死闘をダンが見つめるカット)は、リアプロジェクションという特殊撮影法で撮影されている。

簡単に言うと、スタジオで役者の前にスクリーンを張って、そこに特撮の映像を映し出して、その前で演技をするという技法。プロジェクション撮影にはリアとフロントの二種類あるが、どちらも大きなスタジオを用意しなければならない割には、出来上がった映像のリアリティがそれほどでもないので、その後のウルトラにはあまり活用されなかった技法だが、オプチカル処理がまだまだ高嶺の花だった時代の、トリック撮影等ではよく見られた手法。

その技法にオマージュを捧げる意味を込めて、今回のこの二つのカットは、あえてフォトショップを使わずに、まずソフビをセットで写した写真を用意して、その画像をパソコンのモニターにフル画面で表示させて、そのモニターの前にダンのフィギュアを配置して撮影を行った。

そして始まるエレキングとミクラスの戦い。

水しぶきなどはフォトショの合成処理で躍動感を演出。

ミクラスによるジャイアントスイングなどは移動ブレぼかしを多用。

戦いの舞台はじりじりと山中へ移り、エレキングの怪光線などもフォトショ描画。

次の「エレキング尻尾巻き電撃攻撃」が、前回の制作で本当ならばやらねばならなかった、最大の失敗だったので、今回は丁寧に画像を制作した。

まずは、エレキングの尻尾を単体で、様々な角度から撮影。それをフォトショップで切り貼りして、ミクラスの体に巻きついているように配置していく。やり方を言葉にするだけなら簡単だが、実際に自然に見えるようにやるのはかなり面倒。

最後は尻尾全体を発光させて、電撃の効果をフォトショップで入れていく。

クライマックスの、セブンへの同じ攻撃も、同じ手法で制作されている。

ミクラス敗退後、ウルトラホーク1号の出動。

本話でのホークの光線は、機首下部から発射されていたのでそのように描画。

エレキングの怪光線の直撃を受けてホークも敗退する。

セブン登場。

変身カットはHGガシャポンのモロボシ・ダンを使用。

セブンはいつものように、目とビームランプを発光描画。

移動ブレぼかし、土煙などはいつものように処理を施す。

セブンが振り切る尻尾も、別個に撮影していた物を合成。

エメリウム光線からアイスラッガーでの止めまでは、素材画像は基本的に旧作版と同じものを使っているカットが多いが、フォトショップ処理は大幅に追加して、さらに原作っぽさを狙ってみた。

ピット星人は名鑑をそのまま撮影、セブンのエメリウム光線が円盤を破壊して物語は幕を閉じる。

エレキング

エレキングはバンダイの、ウルトラ怪獣シリーズ(840円)のソフビを演出に使用した。

エレキングはウルトラ怪獣の中でも、一二を争う人気怪獣で、過去、ウルトラ怪獣が、マスプロでソフビ化されてきたときには、バルタンやゴモラと並んで、必ず初期ラインナップに入ってきた怪獣である。

バンダイの怪獣ソフビシリーズは1983年にスタートしたが、その第一弾には当然のようにこのエレキングも入っていた。

しかし、40年以上前のその造形は、当時としてもお世辞にも出来が良いとは言えず(それでも直前期のキングザウルスよりは格段に出来は良かったが)、2000年にめでたく新規造形でリニューアルされた。

今回使用したのは、その2000年リニューアルバージョン。

怪獣ソフビはいつの時代も、「リアル」と「おもちゃ」の境界線を行き来してきたわけだが、おもちゃとしてのギミック最大の売りは、ソフビ構造の関着を活かした可動だろう。

どの怪獣ソフビも、必ず腕や足、腰や頭が動かせて、子どもが自在に操れるように出来上がっている。

しかし、そこでリアルを求めすぎると、出来上がった商品は、原型製作時に計算されたポーズ以外の格好をさせると、とたんに不自然なポージングになってしまうという弊害を生む。

2000年代以降のバンダイのリニューアルソフビの出来は、80年代半ばであれば、数千円だしてガレージキットを買わなければ、手に入らなかったほどのクオリティではあるが、その反面で子供が動かして遊ぶという醍醐味は薄れてしまい、中にはペギラやベムラーなど、動かすこともままならない、ディスプレイスタチュー商品になってしまっているアイテムもある。

今回のエレキングもそういう商品の一つで、アンテナ(角?)の太さを覗けば、80年代のワンフェスガレージキットレベルのクオリティである。

そのアンテナを、細く新造しようかとも考えたが、面倒なのでやらなかったわけだが(笑)、大量生産品ゆえに省略されていた、細かい部分の模様塗装を追加。

顔の汚しも、うるさくない程度に施した。

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