さて、ここからが、この連載主題の「オモ写」に関して言及していくことになるのだが、ここまで徹底比較で、マルブルサイズ、新STサイズ(旧バンダイサイズ)、現行バンダイサイズの3種類に話を絞って展開していくのだが、ヒーロー同様、ウルトラマンシリーズで登場する怪獣や宇宙人は、やはりこの3種の規格のSTサイズが一番ラインナップが充実しており、各メーカーでもメインストリームである。なのでここで、題材が『ウルトラセブン』だけに、セブン怪獣で一番メジャーな、エレキングのマルブル版、旧バンダイ版、令和バンダイ版の3種のSTサイズのソフビを紹介していこう。
三種三様に味わい深い、芸術的魅力を再現したエレキングのソフビ達。
まずは、マルブルST版。
マルザン版の発売開始時は、1967年本放映時期で、当時定価が350円。
頭部が大きく、レトロソフビの玩具的特徴が目立ってはいるが、着ぐるみの皺や、ひび割れディテール等を丁寧に再現してあり、特に下半身は嵌着の可動を捨てたことで、固定ポーズだが安定感のある、怪獣ならではの重量感に溢れている。
ちなみにこの実物は、バンダイが1999年に発売した復刻版であり、歴代の復刻版の中で、一番マルザン版の最初の塗装に近い仕上がりで製造されている。
やはり、ソフビ版エレキングで、リアリズムとサイズのベストバランスを選べと言われれば、コレになるのも当然というのが、旧バンダイウルトラ怪獣シリーズのエレキングである。以前『湖のひみつ』インターミッションでも書いたが、エレキングは1983年のシリーズ開始以降、2000年に新規造形版と入れ替わっており、その出来はフィギュアバブルのピークとも重なって究極で、プロポーション、塗装共に完璧で文句がつけようがない。エレキングの角が若干着ぐるみと比較すると細めだが、ソフビの型抜きの問題もあるので、これが限界の細さだったのだろう。1983年発売展開開始当初500円で始まったウルトラ怪獣シリーズの販売価格も、終了時には税込み840円になってしまっており、子どものお小遣いでは買えず、中国人件費高騰で塗装クオリティも維持できない為、ダウンサイジングと塗装簡略版の、ウルトラ怪獣500シリーズにメインの座を譲るようになった。(ギリギリ、グビラやアーストロン等、展開時期が時期メインシリーズと被っている商品もある)
これが2013年6月から、旧シリーズから隙間をおかずに『ウルトラマンギンガ』(2013年)劇中で、スパークドールズというアイテムで使用されたと同時に展開された、ウルトラ怪獣シリーズ(旧シリーズ名『ウルトラ怪獣500』)のエレキング。サイズはウルトラヒーローシリーズのセブンと同じで、そのままギンガ終了後も、バンダイのウルトラ怪獣ソフビの定番に落ち着いた。2021年では小売価格660円で販売されている。エレキングは人気怪獣だけあり、シリーズ開始同時に、ナンバー05で発売された。商品そのものが小型化された分、逆に尻尾の長さにウェイトを置くことで、それまでのシリーズと比較して、歴代で一番、尻尾の長さが着ぐるみに近いソフビにはなったもし、体の色も登場初期の白味が強い状態を意識した商品も珍しかったので、それなりのオンリーワンの立ち位置を確保できたソフビにはなったものの、なによりサイズが小さく迫力不足なのは否めず、また、旧バンダイ版ではまだ違和感ギリギリで済んでいた「アンテナの太さ」も、ソフビのサイズが小さくなった分、太く見えてしまうので損をしてしまっている。
さて、ここからは次回予告も兼ねることになるのだが、筆者は今までTwitterや『光の国から愛をこめて』インターミッションで何度も唱えているが、マルブルの時代から現行のバンダイソフビに至るまで、ウルトラマン・怪獣ソフビという玩具は、統一されているのは「サイズ」であって「スケール」ではない。極論をいえば、商品としての大きさが統一規格としてあるため、劇中で巨大な怪獣ほど、いざシリーズで商品化された時には、スケールが小さくなるようになっている。
これがどういうことかというと、例えば歴代マスプロソフビで、各シリーズごとに、ヒーローや人型宇宙人は全て同じスケールだが、首が長くて尻尾があってボディも大きい怪獣側は、必ずウルトラヒーローよりも、スケールが小さくなる法則が発動する。
先ほど、マルブルSTサイズとバンダイBIGサイズの比較に、ブルマァクのプラチク星人ソフビを間に入れた時は、スケールもサイズも同等だったが、ここで各メーカーの時代のシリーズごとに、ウルトラセブンとエレキングを並べてみよう。
左から、マルブル、旧バンダイ、現行バンダイの組み合わせだが、どの組み合わせでも、商品としては対等なボリュームであるかもしれないが、着ぐるみのスーツアクターのスケールで換算すると、明らかにエレキングの方が頭二つ分は「小さい」のである。
さて、ここから先は、いずれ公開される次回に続く前提で、筆者が既に2006年頃から始めていた、イマドキのウルトラフィギュアファンがこぞってSNS等で発信している「オモ写」「デジラマ」、元祖の筆者的には「再現特撮」と呼んでいる、ウルトラマンアクションフィギュアと怪獣ソフビを絡めた「ごっこ遊び」に関して、深く追求考察をしてみたいと思っている。
いずれ掲載される次回を是非お待ちください。