というか、「そういう重たさ」とは真逆にフルスウィングで、いまだかつてありえないくらいに「いやいやいや。本当に、“これ”が少女漫画雑誌に載ってていいのか」と思ったギャグ漫画が、河内美雪先生の『借金王キャッシュ』だ。

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河内美雪『借金王キャッシュ』

バブル崩壊で、一夜にして借金まみれになったお嬢様の変貌ぶりを、ギャグで描くと聞けばありがちな設定だが、この漫画、なにがなんだか、一度ド貧乏まで落ちた元貴族級の一家が、お嬢様ヒロインが一瞬で鬼畜系に変貌したかと思ったら、金だけを目当てに悪事の限りを尽くした挙句、最後はアゼルバイジャン共和国にまで行き着くのだ。
この頃の白泉系は最強だった、いやマジで。

で、多分筆者が西原理恵子、こうの史代と共に、一番好きな女性漫画家が入江紀子さん
この人との出会いは、青年誌の『猫の手貸します』だったんだけど、「普通のOLの普通の不倫」を描いていた物語の。そのラストの見開きを目にした瞬間の、衝撃と感覚は今も忘れられない。
女は強い、男なんてしょせんはキンタマついてるだけで、何もかも、女性にはかなわないんだと、実感で納得させられた。
この辺りも、以前こちらでじっくり書かせてもらった。

『猫の手貸します』どこまでもユルくてどこまでも残酷な「不倫」

でもきっと、入江さんの作品に関しては『のら』を一生忘れないと思う。
『のら』は、同じ「少女が主人公の、男子向け漫画」でも、萌え漫画を100冊読むより、ずっとずっと大切なものをもらえる作品。まぁ、この作品についても、いずれここシミルボンでじっくり語りたい(今回、こんな言い訳ばっかですな(笑))。

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入江紀子『のら』

そういう意味でいうと、須藤真澄先生の最高傑作『アクアリウム』も生涯忘れられない作品の一つ。
一人の少女の、寂しくも暖かい人生の流れがそこにあった。

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須藤真澄『アクアリウム』

少女期から思春期を経て、大人の女性へと成長していく過程を、水族館の魚たちという、ステレオタイプに心理学で分析すれば「死の世界」にずっと向き合いながら、明るく、そしてひたむきに生きていく姿と人生の一冊。
しかも、この漫画は僕にとって、亡妻さんとの思い出の一冊でもある。
まぁ、映画は糞だったけどね。

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須藤真澄『アクアリウム』 表紙

しかしこう振り返ってみると、こと少女漫画に関しては、筆者本当に、そのときどきに付き合った彼女さんとかの影響、丸受けで読んできてるのね。
でも、それが人と人の関わりだし、そういうことで趣味って広がるんだし(なんとか無難にまとめようとしています、市川大河。っていうか、いったい何に怯えているんだこのおっさん(笑))。

そういやここ最近は、すっかり女流漫画家の作品しか、漫画を読まなくなってひさしいんで、そのうち暇が出来たら、ざざっと「ここ最近の人気漫画」を読んでみたいと思いますです。

あ。
『銀魂』神楽だよねやっぱ

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