(株)ガジェットリンク代表・声優・平松広和氏をお迎えして語って頂く今回は「平松広和インタビュー・8永野夫婦とリリス・ファウと」

前回は「平松広和インタビュー・7 永野護とFSSと」

――当時のアニメのアフレコ現場は、かなりスケジュール的に無茶があったという話は聞いていましたが、日本サンライズの看板番組でも、そうした問題はあったのですね。

平松 線撮りもありましたね。

――でも、完成した映像を観ると、こっそりファティマが描かれたりもしていたじゃないですが、エルガイムMK-ⅡとかAUGとか。でも、監督の富野由悠季氏は、最後までファティマという設定は否定し続けたわけですよね。

小生が、ファティマを嫌悪する理由については、本文中のスノビズム的なネクロフィリア、フェティシズム、ナルシズム的フリークスな感覚を凝縮したものである、とも書かれているから、補足する必要もない。そのフィロソフィ(あえてこう表現しておく)で、武装しなければならない永野護の問題は、彼個人のものなのか、世代の問題なのかわからないのだが、基本的には、そのような武装は、世間に見せるものではなく、個の問題として封じ込めておかなければならないものだ、という小生の信念を逆撫でするものだから、彼の表現を嫌悪するのである。

MAMORU MANIA 特別寄稿「ファティマを嫌悪する」富野由悠季
イラスト はじめ//RR氏

平松 現場ではそういうアレ(ファティマへの拒否反応)はなかったんですよ。スタジオの中でファティマの話はね、ほぼなかったですね。けど、線撮りとか絵がなかったことによって「先週喋ってもらった、この台詞、全然意味が違ってた(ので撮り直し)」っていうのはありましたけども(笑)。「もう一回、撮り直しー」「えぇ、これどういうシーンでしたっけ」で、こうこうこうでって説明受けて、やり直すっていうのはありました。けれども、ファティマとか、そういったことに関してのやり取りは、本当になかったです。

――やはり、平松さんにしてみれば、あくまでご自身が、ダバ・マイロードという一人の青年とともに、番組だったり、アニメ内では戦場であったりってものを、駆け抜けていったっていう一年間という思いが強いんですね。

平松 そうですね。本当にダバ・マイロードと一緒に駆け抜けたっていう感じですね。ただ、これも、多分しゃべったことがあると思うんだけど、あの収録当時、始まって半年ぐらいのタイミングで、新宿の中華料理屋で、みんなインタビューか何かの企画で、集まっていろいろと話をする機会があったんですけど。その時に永野(護)君が「平松君、平松君、いいこと教えてあげようか」っていうんですよね。「え? 何ですか」「エルガイム、半年で終わるんだよ」って言われて(笑)。(咄嗟に)「え、知ってましたよ!?」って返したら、「何だ、知ってたのか。つまんないなー」とか言われたんですけど。えぇー終わっちゃうのかぁと内心思っていたら、あの(半年目で)アイキャッチがMK-Ⅱになりましたけどね(笑)。ただ、それだけだったってことだったんですけどね(笑)。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事