――イデオンの放映当時のアオシマのプラモデルには、内部に巨大なビーム砲やミサイル砲などが内蔵されていたり、本編とは違うデザインのイデオン・ガンが腹部の穴に刺さったりするギミックがありました。トミーの玩具のパッケージにも、描かれた内部透視図に、そうした設定が説明されている物もあります。こうしたアイディアは、アニメ本編では活かされませんでしたが、樋口さん発信だったのでしょうか。
樋口 いや、僕の設定ではありませんね。イデオン・ガンはデザインしたけれども、最初から手に持つだけのデザインでした。途中から「(イデオンに)武器を持たせたい」という要望がトミーさんからだったかありました。イデオンは刀を持たないので、設定としてイデオン・ガンを持たせたいという意見が出てきたのだと思います。
――アオシマ版イデオンで付属してくる本編と違ったデザイン版のイデオン・ガンは、完成したアニメのオープニング等でも確認できて、今ではアーリーデザインだったのではと言われています。
樋口 オープニングでは使ってたんだ。ということは、僕がデザインしたということですね。これ(アーリーデザイン版イデオン・ガン)は僕が、デザインしている“かも”しれない。
――40年以上前のお仕事ですから、そういった曖昧さは残ってしまうと思います。
樋口 僕も記憶が曖昧になっています。サンライズの方に以前聞かれた事が在るのですが「樋口さん、これ100%樋口さんが描いたと言えますか?」と、とあるメカの内部イラストに関して尋ねられたので、「僕は100%で応える事は一つも出来ない」と言ったんです。誰でもそうだと思うのですが、40年も前の話(『イデオン』は、放映は1980年だが、映画版が上映されたのは1982年)でね、100%なんて記憶は私にはありえない。過去にね、「これにサインしてください」って差し出されたポスターに、「こんなの描いてないよ私は」と思いながら、よく見たら自分の署名が入っていたりね(笑) だからあの頃は異常な量の仕事をしていたんで、記憶も曖昧だし、40年前のことを、100%として話すことは出来ないです。例えば、Wikipediaには、僕は元タカラの社員って書かれているけれども、それも間違っていますからね。