飯島監督の映像理論と力学によって描かれた異次元
藤川桂介
飯島敏宏
高野宏一
「バローン砂漠から帰った世界的探検家イエスタディ氏が、突然姿を消してから一週間経った。事件を持ち込まれた科特隊は早速パリ本部に、イエスタディ氏の旅行について調査を依頼した」
「先月バローン砂漠で大流砂が起こったっていうのよ」
「イエスタディ氏はその時、変わった隕石を持ち帰ったそうだ」
「イエスタディさん! どこへ行っていたんですか!?」
「書斎にいたイエスタディさんが、どうしてこんなところに現れたんだろう?」
「こちらムラマツ。科特隊応答せよ。科特隊応答せよ!」
「キャップ、無駄です。ここは四次元の世界になってしまったんですよ」
「くそぅ……」
「そうか! イエスタディ氏も四次元の世界に閉じ込められていたんだ」
「あの隕石は二つある。けれども、合わせるとひとつになります」
「玩具みたいですね」
「玩具なんてとんでもない! ひとつになると恐ろしい。私はそう思います」
「あれは、無重力圏の谷間から落ちてきた生物ではないでしょうか。普段は隕石の形をしているが、何らかの刺激が加わると姿を変えるんです。私はあれに、スペキュラー熱線を当てて分析しようとしたんですが、ハヤタさん、あの隕石に、片われがあるとかおっしゃいましたが」
「はあ、保管してありますが」
「一緒のところに置かれたんでしょうか?」
「多分。それがどうか?」
「核融合が行われて、巨大な生物になりはしないでしょうか」
「あ! 怪獣だよ!」
「そんな手はもう古いわよ! ……あ!」
「みるみるうちに四次元の霧に包まれてしまった科特隊本部は、すでに無線連絡も通じない世界になっていた。彼らが四次元の世界を堂々巡りしているころ、アキコ隊員の連絡で出動した防衛軍も、怪獣の奇怪な攻撃にてこずっていたのである」