前回「『サイボーグ009』2002年製フィギュアで歴代アニメ版メンバーを再現する!・5「東映動画 白黒TV版」」
時は70年代後半、「テレビまんが(特撮含む)」の時代は(極端な言い方をすると)「続編・リメイク路線」か「マイナー路線」かに大きく区分けされた。後に社会現象となる『機動戦士ガンダム』(1979年)も、実は誕生はマイナー路線枠から「翔んで」広がった足跡がある。
「石森章太郎の名作漫画『サイボーグ009』を、現代の技術と視聴対象思春期層へ向けて」は、松本零士アニメが盛り上がってきた中、一度東京ムービーで『氷河戦士ガイスラッガー』(1977年)という作品で疑似的リメイクが試みられており、それに継ぐ形で、1979年改めて東映がTVアニメ化したのが、今回扱うアニメ版である。
この時期までに、東映は「石森章太郎漫画は実写ヒーローで、永井豪漫画はアニメで」が通例だったが、時期を同じくして、石森&東映実写ヒーローは映画『秘密戦隊ゴレンジャー対ジャッカー電撃隊』(1978年)、永井豪&東映動画はやはり映画『グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦! 大海獣』(1976年)で、それぞれ蜜月関係に終わりを告げていた。
そんな中での『サイボーグ009』再アニメ化は、東映動画主導ではなく、それまで石森ヒーローを手掛けてきた東映テレビ事業部による制作だからこそ立てられた企画であり、しかし東映テレビ事業部は、アニメ制作のシステムをもたないので、外注で日本サンライズ(当時)と同社の高橋良輔監督に丸ごと下請けで手掛けてもらっていた。
なので、便乗上多くのファンや評論時等では、今回紹介する初のカラーTVアニメ化を「サンライズ版」と呼ぶケースが多いので、筆者もそれに倣うことにする。
サンライズ版『サイボーグ009』は、スポンサーにタカトクを招いて、スーパーカーのストレンジャーや、リメイクされたメインメカ・ドルフィンⅡ世号等も玩具用に登場するが、時代はまさにアニメ思春期ブームの中にあると共に、「昔では不可能だった、原作そのままの絵柄と作劇でアニメ化したい」という声が内外から多く、前述した『氷河戦士ガイスラッガー』で取り入れられた「原作版007、ブリテンのアニメ登場」も一つの句読点になり、シリーズは鳴り物入りで始まった。