10年ほど前でしょうか。『おもいでエマノン』『美亜へ贈る真珠』でリリシズムSFというジャンルを築き上げた御大、梶尾真治先生と出会い、交流させて頂く中で上記のような日本SFへの印象を語ったところ「大賀さんは本当に古参らしいSFファンだ」と評していただいたことも、つい先日のことのように覚えております。
『美亜へ贈る真珠』は、中学生の頃学校の前の古本屋で買った文庫本に載っているのを読みながら、青山から渋谷の駅に向かう通学路で、ボロボロ泣いてしまったことを覚えています。

その後、高校生になってからは、図々しく雑誌『月刊ファンロード』『月刊バラエティ』の編集部などにも通うようになり、そこで当時稀有な「女子大生SF作家」だった新井素子先生とお近づきになれて、新井先生に、当時制作していた自主映画にカメオ出演していただいたのも良い思い出です。

そしてまた、晩年にはクラブを退会されたとはいえ、私にとって物書きへの道筋を照らしてくださった平井和正先生の『ウルフガイ』『幻魔大戦』も、自分にとっては忘れ難い少年期の終わりの出会いであり、それらから受けたSFマインドは、受注仕事ではなかなか生かせないケースが多いですが、常に胸に秘めていた自分がいることは間違いはありません。

今回上梓することになった『折口裕一郎の怪異譚 葛城山 紀伊』も、Science Fiction」としてのSFではありませんが、Speculative Fiction」としてのSFではあると自認しております。
多少こじつけの感は否めませんが、当サイトで根気強く続けている『ウルトラマン』『機動戦士ガンダム』の探求も、それぞれ「SF作品としての一つの在り方」を求める旅と言えなくもないでしょう。(懐かしいなぁ。高千穂遙氏による「ガンダムSF論争」)

一部には今の私に対して「自称業界人」等と揶揄する素人さんもいらっしゃるようですが、そんな胡散臭い人間を、梶尾先生や山田先生が推薦するでしょうか? 歴史と伝統ある日本SF作家クラブが、会員として受け入れるでしょうか?

それはそれ。これはこれ。私は私で、これからも、受け入れてくださった日本SF作家クラブの名に恥じぬ活動をするように、精進していきたいと思います。
どうか皆さん、これからもよろしくお願いします。

市川大賀

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