2022年、安倍政権は突如としてその死を以て終わりを告げた

大賀 憲法改正に伴う国民投票も、自民党政権がシステムそのものを変えようとしてきているでしょう?

三留 そう、だから(自民党政権は)根底から壊そうとしている。

大賀 国家国民を、私物化しようとしてるよね。

三留 うん。だけど、マスコミも骨抜きだし……。私のパートナーが先日亡くなったんだけど、彼は大林さんと同世代だったんだけど、リベラルの人だったのね。だけど、戦争は絶対反対の人だった。それはやっぱり戦争を経験しているからであって、人って子どものころに身についたものは、一生消えないんだなぁってつくづく思った。それと、彼は全学連の世代だったんですよ。全共闘じゃなくて。だから彼はデモとかも散々やったし、だから彼は私の表現、抵抗の仕方にすごい不満を持っていたのね。「なぜデモに行かない?」と。「国会前に行けばいいじゃない」と。

大賀 あぁあ! 「動け」と! インターネットでせこせこ書いてないで「動け」と。

三留 「Facebookでそんなこと書いてないで、デモでもなんでもやればいいじゃないか」って言うんだけれども、「私は私のやり方があります」と。デモに行くだけが全てじゃないし、私はそれを、別の形で表明したいって言ってたのね。でも、それはやっぱり最後まで分かってくれなかったみたい。

大賀 そうでしょうね。僕も大島渚監督の『日本の夜と霧』(1960年)とかを観返していて思ったのは、「あ、この世代の人たちは、きっとインターネットデバイスとかを信じないんだ。生身の人と人が、対面して主張をぶつけ合い、己を賭ける形しか信じないんだ」というのは、僕は全く世代じゃないんだけど、すごくリスペクトせざるを得ない信心なのね。まぁあの映画はフィクションだから、ディスカッションドラマとして誇張されているんだけれども。逆に今の時代、ネットで匿名の人物同士が、互いの拳が絶対届かない距離感覚でマウンティングし合って、国の行く末を決め合う構図というのは、すごく民主主義の暗部なんじゃないかと思う。だから僕自身も、実際のデモとかには参加してきてないんだけれども、もし三留さんのパートナーさんに「動け」って言われ続けてたら、僕だったら動いちゃってたと思う(笑) やっぱ男だからかな。

日本の夜と霧

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