大賀 今の三留さんの言葉に、今の日本社会が抱えてる問題への提起が凝縮されているような気がする。本当の文化とか、社会の進化って、既存の価値観では「無駄」だった物からしか生まれないんだよね。無駄な物を排除しつくした社会は、滅びの道を辿るしかないんだよ。

三留 でもサ。今の時代って、映画を観に行くときには、先にネットで調べて、みんなが良いって言ってる物(映画)を、観に行くんだってサ! でもね「みんなが良いって言う映画が、あなたにとって良いとは限らないよ」っていうね。まぁさ。町山智浩)くんが好きな名言に「牛の糞にも段々があるんで。おどれとわしが五寸かい」(『仁義なき戦い 完結篇』(1974年 監督:深作欣二)での、宍戸錠の名台詞)があって。要するに牛の糞にも段々があるんだから、下の方まで全部見ないと、どこが自分に合うかなんてわかんないよっていうね(笑)

仁義なき戦い 完結篇

大賀 そういう意味でいうとね。80年代のバブル景気っていうのは、功罪療法めちゃくちゃ大きかったんだけど、少なくとも映画文化においては、映画会社や、相乗りした企業の税金対策として便利に使われて「こんな奴にこんな映画撮らせんなよ」っていう作品もやまほどあったんだけど……『家族輪舞曲』(1989年 監督:椎名桜子)とかね(笑) :

『家族輪舞曲』椎名桜子

三留 『家族輪舞曲』ぉおお!(笑)

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