OPのウルトラホーク2号は、富士山背景をバックに撮影。この時期のホーク2号は、まだ決定版ではないブロップを使っている。

クライマックスでの本編の、ウルトラセブンとワイアール星人の対決は、箱根へと向かうロマンスカーの往路にて行われる。

タイトルの通り、森林を舞台に繰り広げられたバトルを再現するため、本ブログのセットも青空バックの他は、草原土台・緑山と、緑尽くしで行われた。

ワイアール星人の登場カット等は土煙をフォトショで描画。

セブンの目とビームランプは発光描画。

戦いあってるカットでは、動きブレぼかしをかけてあるケースもある。

アイスラッガーには発光効果と移動ブレぼかしをかけて表現。

エメリウム光線はバンクで処理。

ワイアール星人の爆発と炎上。

ラストのホーク1号は食玩ハイパーメカを使用して、土煙処理を施している。

ワイアール星人

ツタが群生して動物化したデザインが印象的なワイアール星人は、バンダイの怪獣ソフビではリリースされていないので(2020年代に展開した、ウルトラ大怪獣シリーズ5000では発売されたが)ガレージメーカー・ベアモデルより発売されていた、23cmサイズ(旧マルブルサイズ)のソフビワイアール星人を使用した。

ベアモデルは、M1号やまなやと同じく、昭和ウルトラの怪獣の中から、放映当時ソフビ化されていないキャラを、ブルマァク・マルザン的なアレンジを加えながら、レトロタイプとして商品化して、ソフビフィギアを展開しているメーカーである。

筆者的には、ベアモデルの商品コンセプトは、少し「おもちゃっぽさを狙いすぎ」かなと思う部分があり、このワイアール星人のソフビに関しても、ことさら「怪獣人形なんだから、むしろ人間体型を強調しちゃおう」が、少し強く打ち出されている印象を受ける。

そもそものワイアール星人は、現代のように、予め立体商品化を前提としていないデザインなので、確かに立体アイテム、しかもソフビフィギアにするには困難な意匠。

それをアイテムにするには、どこかで割り切ってしまうしかないのも実情だが、ちょっとこのアイテムに関しては、「昔のソフビっぽさ」の遊びの部分が多すぎて、結果的に「ワイアール星人に見えるか見えないか」までもが、ギリギリさ加減漂うアイテムになってしまった。

全身のツタモールドは、なかなか頑張っているが、ツタの絡み具合で人体のシルエットを壊した成田・高山造形の実物とは逆に、ソフビはわざと人体シルエットを強調しているために、ワイアール星人としての記号が希薄なのだ。

オマケに、頭頂部の、立体彫刻的なツタのオブジェで築かれている頭部を、かなり思い切った感覚でディフォルメしているため、まるで熊か猫の耳のように見えるのも、損をしている要因である。

「ぼってりした体型」に「強調された大きな耳」このベアモデル版ワイアール星人は、その二つの特徴のせいで、下手をすると「全身にツタが絡みついたパンダ」のように見えるのだ。

しかも、筆者がオークションで手に入れたこのアイテムは、限定版だったのかテストショットだったのか、全身がスカイブルーの整形色のままであったため、最初は言われるまで、とてもではないがワイアール星人のアイテムであるとは、思えなかったのが正直な第一印象である。

以上のように、ディフォルメがきついアイテムでもあるし、なによりスカイブルーのままでは画面がしまらないので、今回はくるみ塗装を施した。

まずは商品の状態。

元状態

ごらんのように、鮮やかで軽い質感のスカイブルーの整形色状態。やはりこの写真を改めて見てみても、これがワイアール星人だとは気づき難い。このアイテムの凹部に、まずはつや消し黒を塗っていく。

黒部分塗装

黒く塗ったのは、ワイアール星人の全身を包んでいるツタの隙間になる部分だ。大きな「熊の耳」の隙間などは、本当は切り欠いてやればよかったのかもしれないが、今回は塗装で表現することにした。

そこに、濃緑色で全身をくるみ塗装したのがこの状態。

緑部分塗装

黒く塗った凹部は残して、全身を緑色でくるむように塗る。少しワイアール星人っぽくはなってきただろうか。ここから様々に仕上げにかかる。下地の緑よりも薄い色や、黄緑がかった緑など、様々なグリーンで、表面に筋っぽく塗装したり、ドライブラシを入れたりする。そして、そもそもの実物のワイアール星人の着ぐるみで、成田・高山コンビが「空洞を表現するため」に、着ぐるみに組み込んだ鏡の質感を再現するために、ところどころの穴部分をシルバーで塗装する。最後に細部に墨入れして完成したのがこの状態。

完成

シルエットやプロポーションはどうにもできなかったが、部分的な雰囲気やワイアール星人独特のニュアンスは、少しは伝わっているだろうか?

ウルトラホーク2号

本話冒頭で、宇宙ステーションV3から帰還した、イシグロ隊員が乗っていたウルトラホーク2号は、2000年にバンダイが再販したプラモデル「ウルトラホーク2号」を使用した。

そもそもはこのプラモデルの始まりは、『ウルトラマンタロウ』(1973年)放映時の、第二期ウルトラブームにまでさかのぼる。

当時、キャラクタープラモデル市場に参入したバンダイは、様々な商品展開をしていた。

当時のキャラクター版権事業は、現代のような一社独占型ではなく、契約を取り付けさえすれば、競合他社同士が同じ番組のキャラの、同じカテゴリ商品を競作することも少なくはなく、例えば『ウルトラマンA』(1972年)においても、ブルマァク万創、マルサンがプラモデルでは競合していたりした。

バンダイは、そういった混沌としたキャラプラモ黎明期に、子ども好きするアイディアと商品展開で、着実に実績を積み重ねていき、それはやがて70年代後半からの『宇宙戦艦ヤマト』(放映は1974年)『機動戦士ガンダム』(1979年)といったアニメブームと連動する形で、一気にシェアを独占していくのであるが、その基礎が作られたのが、今回使用したウルトラホークプラモデルの頃だったのだ。

このウルトラホークのプラモデルも、最初は「ウルトラホーク秘密基地」というシリーズに付属していたもので、その仕様は、各ウルトラホーク(マグマライザー含む)と、そのメカを展開する秘密基地がセットでキットになっているというものであり、それらの秘密基地が連結されると、大きな基地になるという、当時独特のプレイバリューを持った商品シリーズだった。

そこでホーク1号や2号が収納されている秘密基地は、本編『ウルトラセブン』に登場した地球防衛軍極東基地とは、まったく関係のないオリジナルな仕様の基地であり、例えばそれは、ビルを模した基地がスイッチでパカッと二つに割れて、中からウルトラホークがせり出してくるといったような、玩具的な発想とギミックに溢れた傑作キットであった。

付属していたウルトラホークはゼンマイギミックを内臓。スマートなホーク個々も基地に収まるようにコンパクトにディフォルメされて、そこに大きなゼンマイボックスがついた様は、70年代当時の牧歌的な玩具の赴きも感じさせてくれる。

当時の販売価格は500円と、キャラプラモとしては手が出しやすいレベルで、そういったあたりがヒットした要因なのかもしれない。

ちなみにこの「秘密基地シリーズ」は、おそらくそこそこヒットしたからなのだろうか、その後、基地の仕様はそのままに、収納されているメカだけ変えて、「秘密戦隊ゴレンジャー バリブルーン秘密基地」「UFOロボ グレンダイザー秘密基地」として、一時期かなりの数のシリーズ展開をしていたようである。

そして時が経って80年代。

ヤマト・ガンダムを中心としたアニメリアルプラモブームの真っ只中。「秘密基地シリーズ」のウルトラメカ達は、ウルトラセブン、ゴモラ、レッドキング、バルタン星人などといった、ヒーロー・怪獣のプラモデルと共にセットでアソートされて、バンダイから再販されていた時期がある。

既にガンプラブームが巻き起こっていた中で、その商品は、造形センスも再現度も、時代遅れの感は否めなかったが、当時巻き起こっていた第三期ウルトラブームを背景に、児童層を中心にそれなりの売れ行きをみせたこの商品は、何度か再生産されながら、細々とプラモデル屋の片隅に息づき続けた。

そして2000年。

そのウルトラホークの金型をそのまま使い、「秘密基地シリーズ」にオマケとしてついていた「飛行形態ウルトラセブン」のパーツを付属させて販売されたのが、今回使用したウルトラホーク2号のシリーズなのである。

プラモ付属ウルトラセブン飛行形態前面
プラモ付属ウルトラセブン飛行形態背面

00年販売のラインナップはホーク1号・2号・3号、そしてマグマライザー。

パッケージアートは、秘密基地シリーズの箱絵の改修版。

キットの出来はというと、ホーク2号に限って言えば、「まぁこんなものなのかな」の域を出るレベルではない。秘密基地収納というギミック優先ゆえに全体シルエットがコンパクト化され、それは悪く言えば寸詰まりのプロポーションになってしまっているため、2号独特のなまめかしいスリムビューティさとは無縁の代物になっている。

まぁ2000年代で既に、30年前の児童向けキットに多くを求めてはいけないわけで、今回実際に手にしてみれば、細部や立体構成も、実物とはかなり違っていて、正直どうしようか迷ったほど。

この話を再現しようとした2006年の時点の立体物で、マスプロ商品で手に入るホーク2号というと、90年代の「出撃!ウルトラメカセレクション」のホーク2号か、ガシャポンHGのウルトラマンシリーズか食玩「ウルトラ怪獣名鑑 ウルトラメカニクス」のホーク2号あたりぐらいしか見当たらなかった。

それはどれもこれも、さすが現代の造形なので甲乙つけがたく、立体の解釈としても正解なのだけど、いかんせんそれらのアイテムは小さすぎた。

筆者は一応この時期既にメカセレクションの2号は持っていたが、このアイテムとて数cmしかなく、迫力がないことおびただしい。

ホーク1号やポインターは食玩版やメタルメカコレクションが既にあったが、2号や3号が指先サイズでは、少し悲しいものがある。しかも、ウルトラシリーズの魅力を、オリジナルの画像で伝えようというこのブログの趣旨を考えれば、他のウルトラよりもセブンで目立つのは、そのメカ描写である。

ならば、とブログ版発足当時は、このバンダイプラモデル版で、ウルトラホーク2号・3号を演出することにしていた。

ブログが進んでいった先、またその後公式サイト版に至るまでの間に、様々なウルトラ警備隊メカが手に入り、それでブラッシュアップが進んでいったのであるが、その進歩の過程をそのまま楽しんで頂くため、今回は、あえてバンダイ70年代プラモ版の2号画像をそのまま使った。

さて、そんなバンダイプラモデル版ホーク2号の制作であるが、先述したとおりこのキットは「似てるといえば似ているが、あまり正確ではない」としか言えない出来。

多段式ロケット構造の各部の解釈も間違っているし、補助翼等の付属パーツの位置関係もおかしい。

本来であればちゃんと改修してやるべきなのであろうが、そのための時間も技術も用意できなかったので、今回は塗装だけしてあとはゼンマイボックスをはずすだけで、基本的に素組でキットを使用した。

改修したのは、ゼンマイボックスをはずした箇所をプラ板で埋めて、そこにエンジン部を付けただけ。

塗装はシルバーをベースに、メタルブラックとキャラクターレッドで塗装。

機体側面の赤いラインは付属のデカールを細く切って流用した。 「UH-002」デカールも本編の実物と比較するとかなり大きいのだが、今回は文句を言わずに貼り付けて使用している。

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