今回は、『ウルトラマン』(1966年)第3話『科特隊出撃せよ!』をお送りする。
本話は、クライマックスの発電所のセットに悩まされた。
円谷ウルトラマンシリーズでは、おそらく初の「一発建造物セット」であり、筆者もブログ発足初期当時もその再現には、かなりの労力を費やしたものの、プラ棒と紙細工だけで発電所を再現するのは、かなりの無理があった。
また「透明怪獣なのに透明カットが一つもない」という、「ミサイル超獣なのにミサイルを撃たないベロクロン」「分身しないバルタン星人」などと、同じ間抜けさをブログ時代はあらわにしてしまっていて、いつか必ずリベンジしなければと、強く思っていた。
しかし、本話を気合を入れて再現しようと思うと、クライマックスの第三火力発電所とはまた別個に、序盤の発電所も作らねばならない。
さてどうしようかと、敬遠していた本話のリベンジではあったが、ちょうどそんな中で、発電所のストラクチュア等とも出会ったことから、本話のリベンジも組み入れればいいのではないかと、そう思い立って、本話のリベンジを積極的に組み入れていくことになった。
序盤は、本話ロケ地となった小田原城の実景写真から。
食玩の少年フィギュアを、ホシノ少年に見立てたフィギュアと、地中特撮用トンネルに、ソフビのネロンガの目を合成して、序盤印象的だった、「地下トンネル内でネロンガの目玉に出くわすホシノ少年」のカットを製作。
その後は、最初の発電所を襲うネロンガ。
本編の発電所と同じように、斜面に傾斜を持たせて配管をしてそれらしくセット構築。
暴れるネロンガは、もちろん半透明の状態で写真に合成した。
科特隊の出撃シークエンスを経て、第三火力発電所のセットへ。
今回は、旧版の紙工作ベースとプラ棒の枠組みをあくまで活かしつつ、鉄道模型Nゲージストラクチュアの変電所や工場キットを流用し、発電所としての情報量密度を上げる方向で、セットを新たに組みなおした。
そこへ配置される食玩の戦車隊。
その砲撃にさらされる、またも半透明のネロンガは、次のカットでは石炭山の向こうから、(再現では多少オーバースケール気味だが)客船を持ち掲げて現れる。
その後数カットは、ネロンガによる発電所クライシス描写。
ハヤタの煽り変身カットから、同じアングル・ポーズでウルトラマンが登場する。
ネロンガとの戦いでは、炎や煙、移動ブレぼかしを強めに施して作成。
ネロンガの電撃を胸で受けるシーンは、旧版からそのまま流用した。
最後のとどめはやはりスペシウム光線だが、実は今回、リベンジプロジェクトとして本話を選んだのは、その理由の一つには、ここへきてようやく、初代ウルトラマンのウルトラアクションヒーローの手首を交換可能にカスタムしたため、せめてAタイプのウルトラマンにも「指先がピシッと伸びたスペシウム光線のポーズ」を、させてあげたかったというのもある。
ネロンガを倒して大空へ飛び去るウルトラマン。
枚数は多くないが、情報量だけは多い本話の再現特撮も、このカットで幕を閉じる。
ネロンガ
今回も、使用したのはバンダイのウルトラ怪獣シリーズソフビ(~2013年)のネロンガ。
高山造形独特の表情や、元となったバラゴンスーツのたるみまで、再現している傑作アイテム。
かつて、素人モデラーとして、ガレージキットなどを作り飛ばしていた頃、海洋堂やファルシオンといった、メーカーのソフビキットをよく作っていたが、このネロンガは、その頃のキット並みの出来と言える。
今回の撮影では、製法の関係で塞がっていた口の中をデザインナイフでカットして、製品では省略されていた、唇周りの赤と背中の黄色をリペイントしたのみ。
バンダイソフビシリーズではネロンガも、1983年のシリーズ開始当初のラインナップに入っていたが、1994年にリニューアル新規造形された。
その際での造形技術の躍進はすばらしく、他のリメイク造形ソフビ同様、今のところではマスプロアイテムでは究極と言っても過言ではないだろう。
初代ウルトラマンの怪獣は、旧バンダイサイズでは発売展開が2013年で終了してしまったが、「バンダイのウルトラ怪獣シリーズ」ソフビは、小型化されてもまだ継続中である。まだまだ現行クオリティで商品化されてない物も多いので、今後を期待したいところである。
ハヤタ隊員
本再現で、ウルトラマンの変身前のハヤタ隊員は、バンダイが2001年5月に発売した、食玩ハイパーウルトラマン5 ハヤタ隊員を、再現で活用している。
90年代末から2000年代中期までのフィギュアバブルは物凄く、「こんなものまで、こんな価格で?」が群雄割拠した時代だが、本商品もそんな時代を象徴する逸品。
全長は100mm前後と決して大きなサイズではないが、服のディテールから皺、ハヤタを演じた黒部進氏に似せた表情まで、とても丁寧に完成度高く作られていて、オマケに変身ポーズの時の手首は『空の贈り物』の時のスプーン用手首までついてくるという。
さすがに左胸と左腕の科特隊マークはシールだが、ヘルメットのバイザーはクリアパーツで、質感表現に拘っているところ。材質はPVCだが、一番驚くべきは、この出来、このクオリティ、この拘り、このサイズで、2001年当時の価格が300円であったことだ。
写真演出ではUPにも耐えられるこのフィギュアを、変身シーン以外でも、積極的に使っていきたいと思っている。