海洋物・等身大から巨大へ。

主人公の少年性。

そして没主題歌。

この『マックス号応答せよ』という話には、セブンという番組が、紆余曲折した企画推移の中で捨てていった設定や新機軸ビジョンが、ぎっしり詰まっているのである。

そこには『ウルトラQ』(1966年)で助監督を務め、『ウルトラマン』で監督デビューした、円谷プロ生え抜きの満田監督なりの「消えていった企画・設定」への、敬意のようなものがあったのかもしれない。

物語は前述したように、海上から宇宙へと幅広く広がる冒険物のルックスをとっている。

ダンを襲った女ゴドラが、何故ウルトラアイを盗むだけで、気絶したダンにとどめを刺さなかったのかとか、作戦成功間際に、ゴドラ星人がわざわざダンの前に現れて、作戦を語り、隙を見せてしまうなど、満田監督演出特有の、矛盾や構成のアラは目立つが、テンポの良さがそれをカバーし、娯楽作品の一つの形としては仕上がっている。

セブン初期の明朗な路線を象徴する、正統派作品の一つであろう。

ここで話を、今回登場したゴドラ星人のデザインに移してみたい。

ゴドラ星人のデザインは、特にこの時期、成田亨氏が好んで用いていた、肩口から頭頂部まで絞り込むように、頭部がラインを形成しているシルエットであり、その源流はケムールやバルタンにも見られるが、セブンのこの時期は、ペガッサ・キュラソ・メトロンなど、特にこのタイプの意匠が目立つ。

ゴドラの場合はそこに、西部劇のガンマンのイメージを、赤いベストや両手のガンなどで盛り込んである。

そして白(銀に近い)・赤・緑のワンポイントというゴドラの配色は、そのままセブンと対を成している。

また、両手のハサミは蟹のそれをモチーフにしており、やはりこの時期の成田デザインは、メトロンの目のフジツボやビラ星人のウチワエビや、エレキングのウミウシなど、海洋生物の意匠をモチーフやパーツとして盛り込む手法も多く見られている。

これは成田氏自身が、海洋生物のデザインを好んで用いるという側面もあるだろうが、やはりここにも、セブンがそもそも海洋ジャンルだった、その足跡を見ることもできるわけで中々興味深い。 心理学の世界では、宇宙と深海・海洋は似た意味も持っていて、そういう意味合いもあったのかもしれない。

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