ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。
とか言いながら、ガンプラ以外も紹介してきたのは、MiddleEdge時代から変わらず、最近では「もはや富野作品でも、アニメメカですらない」グッズまで紹介し始めた迷走連載。
前回は「『ガンプラり歩き旅』サンバルカン編・2 悪を切り裂く太陽剣! サンバルカンロボ!【後】」
前回までは、二回続けて『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)の巨大合体ロボのサンバルカンロボの、スーパーミニプラ版を紹介し続けたので、それはそれでいいのだが(いいのか?)、あくまでこの番組の主役は、決してロボではなく、劇中で活躍する三人の戦隊(追加戦士無しで歴代最小構成人数)の、太陽戦隊サンバルカンなのだから、そのフィギュアを紹介しなくてどうする!ということで、バンダイが近年力を入れて販売ラインナップを増やしているミニアクションフィギュアシリーズの「SHODO」から、サンバルカンの三人を今回は紹介したいと思う。
SHODO SUPER 太陽戦隊サンバルカン【プレミアムバンダイ限定】 2020年5月 5500円
のっけから景気が悪い話でなんだが、平成を終えて令和になっても収まらぬ不況は、玩具業界も直撃し続けている。収まらぬ少子高齢化による市場の縮小、中国人件費高騰によるコストカットの手段がなくなった状況は、2000年代初頭までの「小さいのに驚くほど精密で出来がよく、塗装も匠の技で丁寧に塗れたアートレベルの逸品が数百円」という夢のような時代を終えて、しかし「安かろう。悪かろう」へは、もどりたくてももどれない、メーカーにしてみればもどかしい状況が続いていた。
直前期まで、ガンダムを始めとしたロボットの完成フィギュアとしては「ROBOT魂」というブランドが、そして特撮やアニメのキャラフィギュアに関しては「SHFiguarts」が、「完成度が高く、それなりに安いコレクションシリーズ」としてバンダイの立ち位置を築いていた。
しかし、経済圧迫はさらに続き、上記二つのブランドは、既にフラッグシップとなっていたため、最早新商品のクオリティを落とすワケにはいかず、それゆえ価格がどんどん跳ね上がってきて、今や「手軽に揃えられるコレクション」ではなくなってしまったのは事実。
それゆえ、バンダイ的には日本を包む玩具不況に対しても、リストラクションの姿勢を明らかにしなければならない。
例えば30年続いてきた伝統のウルトラ怪獣シリーズソフビも、「サイズを縮小して、背面は塗らない」仕様にすることによって、2013年に定価を300円カットして再スタートを切った。
バンダイのメインストリーム、完成品フィギュアの王、SHFiguartsとしては、そうした刷新をすることも出来ず、発想を転換して、下位互換の商品カテゴリを、食玩なりバンダイ商品なりで展開することで、活気を取り戻そうとしたのである。
それが今回紹介する商品「SHODO」他の商品群なのだ。
スーパー戦隊ヒーローのアクションフィギュアシリーズ「SHODO SUPER」始動!
第1弾は『太陽戦隊サンバルカン』の「バルイーグル」「バルシャーク」「バルパンサー」の3戦士がラインナップ。ユニークな各種ポージングも再現可能。
必殺技再現に欠かせない「バルカンボール」各種などオプションパーツも豊富に付属。
別売りの「太陽合体 世界のスーパーミニプラ サンバルカン」「スーパーミニプラ ビッグスケール ジャガーバルカン」と揃えるのも楽しいアイテムです。
【セット内容】
●彩色済みフィギュア3体セット、オプションパーツ一式
・バルイーグル
・バルシャーク
・バルパンサー
・オプションパーツ一式
● ラムネ菓子1個
【素材】
本体:PVC・ABS
【サイズ】
H100mm × W40mm
【対象年齢】
15歳以上
プレミアムバンダイ公式サイト商品説明より
ここでようやく、商品の説明が始まるわけだが、バンダイはSHFiguartsで培った「PVCとABSのアクションフィギュア」という商品カテゴリの下位互換ブランドとして、キャンディトイ(食玩)事業部で複数の冠を立ち上げた。主に仮面ライダーシリーズをラインナップする「掌動」、戦隊シリーズを扱う「SUPER SHODO」、仮面ライダーシリーズなどで、アイテム同士を連動させて組み合わせて遊ぶ前提でストラクチュアされてる「装動」、ウルトラマンシリーズの「超動」等々。
2015年辺りから、全長10㎝を基本として、各シリーズが個々に展開。
戦隊シリーズでは、2020年にようやく、商品化第一号として、この太陽戦隊サンバルカンが選ばれた。
シリーズ幕あけで、あえてサンバルカンが選ばれた理由は想像がつく。
まず第一に、サンバルカンは追加戦士も女性戦士もいない、3人メンバーだけなので、商品化の時にリスクが少ないこと。
そして第二に、サンバルカンは2015年の段階で一度、SHFiguartsの一般発売でイーグル(4500円)を、残りのシャークとパンサー(9000円)をプレミアムバンダイ限定通信販売で展開して成功した実績があり、古い昭和戦隊の中でも、採算がとれる人気を有していると把握されていたこと。
第三に、まず最初に戦隊シリーズ始祖の『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)を展開してしまうと、売り上げが期待値を下回って失敗したときに、いきなりシリーズそのものが自由度を失い、先細りしてしまう可能性があること。
等が挙げられると思われる。
さて、そんなこんなで「大人の事情」的な話題から始まった、今回の「SUPER SHODO 太陽戦隊サンバルカン」の紹介なのだが、大河さん残念ながら機を逸して、SHFiguarts版のサンバルカンを持っていない。それはまぁ、貧乏だとか、ガンプラ優先の時期だったからとか、いろいろ理由もあるのだが、結局のところ、今まではSHODOはじめこの手のミニアクションフィギュア群も手を出していなかったので、まぁ巷の評判もいいし、今現在、バンダイキャンディトイ事業部がもっとも力を入れているシリーズだし、まずハズレを引くことはないだろうと、サンバルカンロボと共に(さすがに価格と置き場所の問題でジャガーバルカンはスルー)、いい機会だと思って購入してみた。
Twitter等でも、ネタ画像やカスタム素材などで多用されているので、ファンの裾野は広がっていることは知っていたので期待はしてみたが、3人で5000円、1人1600円のフィギュアとしては、造りがぎこちないなと思ったのが第一印象。
まず見た目、ビジュアルの面に関しては、このシリーズは塗装と補完シールを使い分けるのが巧く、大きさや素材のチープ感は感じさせない。ここはまずまず及第点である。