横から見た三人。ヘルメットのレリーフの造形の細かさは秀逸

その上で、全身に配置された関節や分割が、ここ15年でだいぶこなれてきたバンダイ(とアクションフィギュア界隈)の賜物で、10㎝サイズのミニフィギュアながら、最適化がされていて、見た目のロボット感はあまりない。これも日進月歩の賜物であろう。なお、イマドキのアクションフィギュアの統一フォーマットか、この商品もちゃんとフィギュアスタンドホールド用の3mm穴が開いているのだが、フィギュアのサイズが小さいので、ジョイントは背中に設けられている。

三人の背面。背中の腰部の穴は、イマドキフィギュア標準装備の3mmジョイント穴

だが可動。アクションフィギュアという商品なのだから、当然最重要課題なのは「可動」なのであるが、ここがいろいろ不満が多すぎてしまう。
確かに、10㎝一体1600円のフィギュアに、一体4500円のSHFiguartsと同じ可動ポテンシャルを求めるのは理不尽なのだが、好事家としては(手に入れたいキャラがいなかったもので)これまでは手を出していなかった商品カテゴリが、実際手に取ってみて、ここまで期待値より低かったのは久しぶりである。
すぐ脱臼してポロリしてしまう肩関節。そして、スウィングしないので、正面で刀を両手で握れない肩関節の可動範囲。

上半身の可動範囲。肩はボールジョイントだがポロリ率は高い


肩の関節の開き角度や、肘の曲がり角度や、開脚性能や膝の折り畳みなど、ここは人間の可能範囲で構わないのだが、それでも、バルイーグルの名乗りの際、踵両足を揃えて足を寄せて直立することもできない仕様には、首をひねらざるを得ない。そして、見栄えを優先したからか、脚部が、膝は充分曲がるものの、股関節を前に向かって大きく踏み出せない範囲になっており、昨今のガンプラの、正座が出来て当たり前の可動範囲に慣れていると、ぶっちゃけ逆にびっくりさせられる。
また、可動軸は仕込んであるが、上半身を前屈することも反らすことも事実上できない腹部関節

開脚性能は問題なし。人が演じてるのだから人間以上のスペックは要らない

これらを総じて言えることは、この商品カテゴリ、大きさのせいなのか、生産ラインの問題か、見た目の「動きそう度」は極めてSHFiguartsに近いのだが、実際の「動く範囲度」は、むしろ15年昔に、同じABSとPVC素材で商品シリーズが展開していた、ウルトラアクションヒーローの方に近い(とまで言うのは言いすぎか)。

下半身の前後折り畳み。膝は充分だが、腿が前方へ90度もいかないのはポージングできつい

オプションの方は極めて豊富で取りこぼしはない。

しかし、いきなり手首で少し頭をひねる。
用意された手首は、握り拳2種、手刀型1種、平手1種、武器握り手1種(イーグルやパンサーのポーズ手も兼用)なのだが、拳は手首への交換は一軸回転可動だけなのだが、拳2種は、拳の角度が変えられている。
筆者の知る限り、サンバルカンで、そこまで拳の角度が特徴的なシーンはあまりないはずで、ひょっとしたらこの拳は、パンサーの名乗り用なのかもしれないが、それならばむしろ、バルシャークの名乗りのポーズの時、一番肝心と言われていた「鮫のヒレ」を模す、曲がって立てた平手を付属させてあげた方がよかったのではないかと思ってしまう(イーグルとパンサーには不要だが)。

オプションの手首。拳が2種類あるなら、他にあった方がいい手首があったはず……

一方、バルカンスティックは、腰に付ける際には、納められたホルダーと一体型と、抜いたホルダーだけの物を二種類コンパチで選べ、スティック単独はそのまま握り手(PVCなので保持力はOK)で掴んでポージングできる。

バルカンスティックのランナー
左から、スティックが収まったホルダー。スティック。スティックが抜かれたホルダー
バルカンスティックを構えるバルシャーク。握り手がPVCなのでホールド性能は良い

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