ここでおもむろに携帯を取り出した安藤監督。
お忙しいのかな? もう時間なのかな? と惑って気をもんだ筆者であったが、安藤監督は、繋がった電話の向こう側に向かってとても機嫌の良い声色で「あぁミッちゃん?」と話しかけられた。
ミッちゃん? はて、どなたのことだろう? 今までの流れで「ミッちゃん」と言われても、まさか満田監督なんてことはないだろうし、頭の中が「?」でいっぱいになった筆者を前にして「今、電話変わるから」と仰った安藤監督は、携帯電話を筆者に差し出された。
「え?」と、全く状況がつかめないまま安藤監督の携帯を耳に当ててみると、電話口からは「初めまして、上原正三です」と声が聞こえてきた。

その瞬間、頭が真っ白になった。
恥ずかしながら不惑を超えた中年にして、まるで中学生が、初恋相手の少女と初めて電話した時に近い状態。確かに、安藤監督は円谷から去って40年以上経っても、上原氏と一番の親友関係を続けていらっしゃったことは知っている。言われてみれば、上原氏の奥様の名前は「ミッちゃん」で間違いない。上原氏の結婚式での、新婦のウエディングドレスを縫ったのは、安藤監督の奥様だったとういう話も、以前確かに伺ったことはあった。
しかし、あまりにも不意打ちなサプライズとしか言いようがない(笑)
正直言おう、緊張しすぎて、上原氏と電話で何を会話したのか、全く覚えていない(笑)
そうだった。
かつてお会いした山際永三監督が、日本ドラマ界での屈指の名コンビ相手が市川森一氏だったように、安藤監督の人生の盟友は、他でもない上原正三氏だったのである。

本当に、上原氏とどんな会話を交わしたかは覚えてない。
ただ、失礼のないようにと、舞い上がる気持ちを抑えつつ、言葉を選び続けた記憶しかない。
安藤監督は、電話口の上原氏に「この人(筆者のこと)は上正を尊敬しまくっててよ。だってこの人のサイトに行くと、上正の話が腐るほど出てくるわけよ! で、そこに『尊敬する人』に、堂々と上正の名前を書いてあるんだよ。上正を神様のように仰いでる人なんだから」と紹介してくださった。

この部分、恥ずかしすぎてICレコーダーの音声再生すら出来ないという(笑)
そういうわけなので、この部分は想像で補ってくださいませ。
というわけで、酒も入りつつサプライズに動揺しつつ、インタビューは次回「安藤達己と金城哲夫と『怪奇大作戦』と」に続きます。さぁみんなで読もう!

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