『光の国から愛をこめて』枠連載で純粋な特撮ドラマではない作品を扱うのは、本作品がはじめてである。
そこには筆者の想いや、様々な理由があって、今回の発表にたどり着いた。

まず、自分がブログで扱う作品群の中には、今回紹介した『私が愛したウルトラセブン』(1993年)の他にも、『ウルトラマンを作った男たち 星の林に月の舟』(1989年)など、ウルトラの内幕を、当時の作家が綴った作品も、織り込んでいきたいという展望があったのである。
今挙げた両作品と、『ウルトラマンティガ』(1996年)で、上原正三氏が『ウルトラQ』(1966年)時代の円谷プロを舞台に描いた『ウルトラの星』は、初期ウルトラを支えた作家による、セミドキュメンタリードラマとして、ウルトラを語る上では、欠かせない作品であるのは事実だった。

しかし、あくまで『ウルトラマンティガ』の一本として、怪獣や宇宙人を登場させたエピソードの中に、円谷プロのドラマを盛り込んだ『ウルトラの星』はともかくとして、他の二本は純粋な特撮ドラマではなく、筆者の画像では再現が困難である。
どちらも劇中で、特撮撮影シーンを組み込んではいるが、それは決して本筋ではなく、あくまでドラマは円谷プロという会社を舞台にした、人間群像として描かれている。
それを画像で再現するとなると、どうすればいいのかは正直悩んでいた。

あくまで、イメージとしては(本作では)セブンとパンドンの特撮シーンを、いつものような完成映像としてではなく、筆者の撮影状態を俯瞰で映す画像で、「特撮をしている状況」として描写して、このドラマを表現しようと思っていた。

しかし。
このドラマの真の主役は、もちろんアンヌである。
アンヌというキャラのビジュアルなくしては、本作品は語れない。
なので、今回の画像コンセプトを
・筆者の自作特撮セット全景を舞台にした、アンヌの画像
・筆者がかつて訪れていた頃の、旧円谷プロ社屋実景を背景にしたアンヌの画像

この二つに絞り込んで、あのドラマを再現することにした。

そうなると、今度は「ではそのアンヌをどうするか」が問題の核になった。
もちろん、アンヌはフィギュアで再現するわけであるが、アンヌというキャラは、ウルトラシリーズ屈指の名ヒロインでもあり、そのフィギュアも、30cmを超えるサイズの物から始まって、精巧に作られた衣装やメットと、セットになったアクションフィギュアや、著名な原型師が手がけた高額ガレージキットや、ソフビ、ドール、食玩、プラモデルのオマケに到るまで、ありとあらゆるカテゴリで今もまだ、かつてのウルトラ少年の心を掴んで離さないマドンナとして商品化され続けているのである。
そしてまた、造形の方向性やスタンス、コンセプトも、写実表現あり、アニメ調アレンジあり、レトロディフォルメありと、他に追従を許さない幅の広さで、商品が作られている。

ざっと調べ上げただけでも、筆者が知る限りにおいてアンヌ隊員は、メディコムリアルアクションヒーローズタカラ社クールガール食玩ハイパーウルトラマンマーミット桑田二郎版フィギュアM1号、ビリケン商会彩色済ソフビキット(隊員版・ナース版)マーミットソフビ(ナース版)などなど、多岐に渡って販売されている。

さぁ、ではそのアンヌの表現はどのアイテムを使えばいいのか。
そこの選択眼で、おそらく筆者のセンスが問われるだろうとは、これは最初から、ある種のプレッシャーと共に意識していた。
何度でも言うが、このドラマの主役はアンヌである。
つまり、ここでアンヌをどのアイテムで撮影に使用するかは、主役を選ぶのと同じ重さを持っているのだ。
リアルでいくのか?ディフォルメでいくのか?サイズはどうする?
筆者の頭の中で、様々な要素が交錯していく。

ぶっちゃけ筆者の再現特撮の画像世界は、筆者の個人価値観による、リアルとディフォルメの微妙なバランスで成立している。
それはあくまで、筆者の個人的なバランスであり、普遍性があるものではない。
なのでこればかりは、一人でただただ、頭を抱える日々が続いていた。

そんなとき、インスパイアというメーカーから、レジェンドヒロインセレクション 友里アンヌの新発売の告知が出ているのを知った。
ネットを周っていて知ったので、サイトへ赴いてチェックをする。
フィギュア解説で詳しく書くが、自分にとってインスパイアというメーカーは、既存のメーカーにはない、気概と魂を感じるメーカーであったので、事前にそそられるものを感じて、インスパイアのサイトに向かった。
そこに掲載されていた、商品見本を見た瞬間に、筆者の心は決まった。

レジェンドヒロインセレクション 友里アンヌ

これにしよう。

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