お次は、本作品を象徴するだろう「ちゃぶ台メトロン」に関しては、下で記載しているアイテム解説欄をお読みいただきたい。
なお、このシーンに限らず、今回は全てのカットにおいて、メトロンの目、顔の装飾、セブンの目とビームランプを、フォトショップで光らせてある。
特にメトロンの顔の装飾は、実物はネオンサインのように、点滅が移動しながら表情を作っていくので、こちらのフォトショ処理も、グラデーション効果を入れてある。
さて、問題の夕焼け特撮であるが(笑)
背景は夕焼け背景を貼り、セットはグレー土台を二つ用意。
その間に青セロファンで川を敷き、土台の上には紙工作の工場や煙突、民家を配置した。
川の上にはいかだや船も浮かべてあるが、画像では判り難いかもしれない。
全体的に露出は暗めで、再度から色温度が赤めの灯りを当てて撮影。
どのカットも最終的には、透明度を上げたオレンジレイヤーを被せてある。
1カット目では、夕焼け背景の真ん中に夕陽を、そして工場の煙突から立ち上る煙を、フォトショで描きいれてある。
駆け寄りあうセブンとメトロンには移動ブレぼかし効果。印象的な、夕陽をバックに重なり合う両者のカットでは、ポーズを付けたフィギアをフォトショで切り出して、赤茶でベタ塗りしたレイヤーをセブンとメトロンで重ねて移動ぼかしをかけ、夕陽のアップのレイヤーに重ねて表現した。
その後のエメリウム光線やアイスラッガー、爆発はバンクから。
ラストは本編と同じく、沈みゆく夕陽がゆっくりとしめてくれた。
メトロン星人
40年近い時を経て『ウルトラマンマックス』(2005年)で復活した、実相寺宇宙人の極めつけ・メトロン星人は、バンダイのウルトラ怪獣シリーズの、セブン版のメトロン星人ソフビを使用した。
メトロン星人のソフビは、シリーズ開始当初の1983年にラインナップ入りしたが、その時の造形は、特徴的な頭部や手を上手く再現してあるものの、四肢の着き方やポーズがあまりにも直立不動であったため、全体のシルエットが硬く、結果あまり良い出来ではなかった。
この弱点は、他のセブン宇宙人のゴドラ星人やペガッサ星人にも言えるが、メトロンだけは1994年になって、新規造形版が発売された。
その新規造形版は、ポーズこそ、やはり立っているだけではあるものの、シルエットはやわらかく、自然な形になっており、マスプロのスタンダードなソフビでは、決定版ともいえる出来になった。
サイケで極彩色のカラーリングも効果的であり、子ども好きする傑作ソフビの一つに挙げられるだろう。
今回は、メインの演出でこのソフビを使用することになったわけだが、メトロンはもともと色の塗りわけが細かかったためか、若干省略されている彩色があったので、その部分だけリペイントすることにした。
具体的にいえば、肩から肘にかけての黄色い部分と、腹巻状の赤いベルト部分である。
本当であれば、爪先の青部分もリペするべきだったのだろうが、筆者はエアブラシを所有しておらず、またこの爪先部分は、エアブラシを使わなければうまく塗装できない部分でもあったため(演出的にほぼ写り込まない部分でもあるので)、結果、今回は爪先の青の塗装は割愛してある。
その後、2008年には、腹部と目が改めて塗装されたバージョンも再発売されている。
マックス版ソフビも発売された、恵まれたキャラのメトロン星人ではあるが、故・実相寺監督を思い偲ぶとき、この愛すべきキャラの存在は永遠であると思いたい……。