そしてここからが、徐々に本題に入っていくのであるが(長いな!)、さらにそこから20年近く経って、冒頭で記述した「平成版」アニメがTVシリーズ化され、そこにも改めて、ブラッシュアップされたドルフィン号が登場するのだけれども、いきなりコレが、どこかで見た既視感ありまくりのデザインになってしまっているのだ。
平成版は、その後どんどん石森タッチからアレンジされていく歴史の直前期に、紺野氏という石森アニメ再現天才を得たからにはと、あえて昭和レトロな感覚やデザインも取り入れつつ、サイバーパンク以降の画も取り入れていくスタイルで全体像が構築されている。
なので、そこで登場するドルフィン号も、「飛行モードから潜水艦モードへの変形」は必要最小限のギミックに絞り込んで、多少レトロチックなフォルムを取り入れた絶妙なバランスゆえ、等身大のサイボーグ戦士達の戦いをバックアップするビジュアルとして生きたわけであるが……。
本題まで、あともうちょっと(笑)
まずは、ここで先ほど「あえて触れずに」と書いた、東映動画版のドルフィン号を、ここで紹介してみたい。
なるほど。やはり石森漫画版は、後付けの一皮剥けで、こちらのデザインに寄せたのだと分かるシルエットとカラーリングである。
だがしかし、この頃のアニメメカゆえか、今一つ洗練されてはいないし、登場シーンごとにデザインバランスの案配も異なったりする。
その上で、再び平成版のドルフィン号を見直すと、まるでアニメのガンダムが最新MGのガンプラにリファインされたかのように、しっかりと東映動画版をベースに、レトロな流線形ボディ等のエッセンスを残しつつ、イマドキのメカに再構築されているのが、平成版ドルフィン号であることが再確認できる。
平成版ドルフィン号は「流線型のボディに左右に開く主翼。紅白のツートン」というコンセプトを継承してデザインされた。
しかし。
とりあえず、玩具販促の意味もあったのだろうから、この平成版ドルフィン号を、飛行モードと、潜水艦モードで、それぞれを比較してみよう。
変形自体はシンプルで、ギミックも3プロセスしかない。飛行状態からは「主翼を畳む」「本体上面のブロックを後方にスライドさせる」「潜水艦の記号論としての艦橋がせり出してくる」で潜水艦モードに変形するのだが、その「二者択一」変形を混ぜてみると、先ほど感じた既視感が、確信に近いものに変わるのだ。