信頼も信じる力も、傷つき果てた先の体温を信じて
南川 竜・金城哲夫
野長瀬三摩地
高野宏一
「誰だ!」
「はははは。そんな怖い顔で私を見ないで欲しい。ご推察のとおり私は宇宙人だ」
「宇宙人!?」
「さよう。第8銀河系の中にあるザラブ星人。我々の言葉で兄弟という意味だ。仲良く平和に暮らしていくことが我々のモットーだ。だから、地球の諸君とも兄弟同士というわけだ。もっとも、私の方が兄で、君たちはまだ幼い弟だがね」
「君はさっき我々を、まだ幼い弟だと言った。ということは、君たちは我々より全ての点で優れているという意味なのか」
「そのとおりだ」
「ムラマツ君。ザラブ星人が日本にいることを出来るだけ隠しておきたい。世界中で彼を欲しがることだろう」
「ハッ」
「しかし彼がもし進んだ知識を持っているとすれば、地球全体の進歩に役立てるべきではないでしょうか」
「私は宇宙局へ行く。行こう、宇宙局へ」
「ちょっと気になるなあ……。キャップ、私に彼を調べさせてください」
「これがあいつの正体なんだ。ほっとけばやがて地球もこうなる」
「ハヤタ君。好奇心は身を滅ぼす。君は多くのことを知りすぎたようだ」
「現れたな! ザラブ星人!君は土星ロケット乗組員と同じように、この地球を支配する気だな!」
「そのとおりだ。私の狙った星はみな互いに戦い滅んでいった」
「えっ!? どうしてそんなひどいことを!」
「私はそうするために生まれてきた。そうすることが私の仕事なのだ。ただ、地球には科学特捜隊とウルトラマンがいる。この二つをなくしてしまわないと、私の思うとおり地球を支配できない。君は私のものだ、ウルトラマン」