オオツカ企画 ハイパーヒーローコレクションボックス 1/10 ウルトラセブンVS宇宙ロボット キングジョー 2004年10月 18㎝
オオツカ企画のハイパーヒーローは、先行していたメディコムのRAH同様に、仮面ライダーシリーズや秘密戦隊ゴレンジャーのフィギュアを順調にリリース。ピープロの快傑ライオン丸やタイガージョーも挟みつつ、前述したネクスト アンファンスの先で、上記セブンとキングジョーのセットと「ハイパーヒーローコレクションボックス 1/10 ウルトラマンvsゼットン」を売り出したのである。
これはいずれ別の連載でも語ろうと思っているが、実はこの、オオツカ企画のアクションボディ「素体くん」は、厳密には商品そのままだと1/9だが、それは少しアニメキャラ的にアレンジされた足の長さ故であり、事前に足を実在する人間レベルに切り詰めれば、そのスケールは正しく1/10になる(商品も一応こちらのスケールで表記されていた)。そうなると、2013年までバンダイが展開していた、ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズのソフビと全く同じサイズ、スケールになる。
そこで2000年代前半では、バンダイの仮面ライダーソフビのパーツを、足を切り詰めた「素体くん」に被せていって、自作でフルアクションの仮面ライダーフィギュアを作ることが、一部好事家の間では密かなムーブになっていた。
なので、基本的には「ディテール関節型」アクションフィギュアは、ウルトラマン系には似合わないと思っていた筆者は、『光の国から愛をこめて』を始める時に、ウルトラマンとウルトラセブンに関しては、このフィギュアを使うことも考えた。なんといっても、バンダイソフビとサイズが合うことは、メリットが大きいと考えた。
しかし、悪い予感はしていたが、このシリーズのウルトラもまた「スーツ生地が中途半端に皺が目立つ」「中途半端にしか可動しない」「可動でつけたアクションポーズが、スーツの弾力で元に戻ってしまう」という、マーミットのSAHシリーズの轍を完全に踏んでしまった。
その結果、このハイパーヒーローシリーズで、ウルトラヒーローが商品化されたのは、ネクサス アンファンスとウルトラマン、ウルトラセブンだけであった。なので、昭和ウルトラ全シリーズを扱う予定だった『光の国から愛をこめて』では、ウルトラマンとウルトラセブンだけでは、使えなかったとしか言いようがない。自作の仮面ライダーフィギュアのノウハウを注ぎ込むことは出来たが、ウルトラマンタイプのウェットスーツに見える生地で作れたスーツが皆無であったし、それをヒーロー単位で塗装するノウハウも持っていなかった。
その上で、この商品が「惜しいところまでは言っているのだが、マーミット版の欠点を修正できないまま、さらにサイズが小さくなっているので、スケール感も損なっていて、ポーズ固定やパーツポロリ度も問題あり」なので、選択肢からは速やかに外すしかなかった。
筆者が『光の国から愛をこめて』で再現特撮を描くには、なによりコンティニュティを重視した、細かいポーズの決め打ちが重要であり、その上で筆者が『光の国から愛をこめて』の構想を掲げた時には、既にこの商品のウルトラマンとウルトラセブンは、入手困難な発売終了品となっていたのであった。
そして、現代市場における「素体にスーツとマスクを装着するフィギュア」ジャンルの雄であり、2022年現在も新商品展開を続けているメディコムのRAHシリーズが、満を持してウルトラセブンの商品化に動いたのは、メーカーが立ち上がり、様々なノウハウを蓄積し続けた果ての2005年であった。