科特隊専用車
科特隊が常用する専用車は、本話からはバンダイが1997年に発売した「ミニポピニカ ウルトラビーグル5」の科特隊専用車を使用していく。
バンダイがこの商品を発売した時期は、怪獣ソフビなどでも、旧シリーズキャラクターの新規発売が盛んだった時期でもあり、また『ウルトラマンティガ』(1996年)放映中ということもあって、それは事実上の第4期ウルトラブームともいえて、その商品展開も、現行のティガあり、旧作のフィーチャリングありと、それはこのビーグル5というアイテムにも現れていた。
ビーグル5は、歴代のウルトラ防衛隊の車両ミニカーが、5個セットされている児童向け玩具なのであるが、そのラインナップは、昭和ウルトラから科特隊専用車、ポインター、マットビハイクル、現行のティガからマシンシャーロックとデ・ラ・ムという選出で、完全に、昭和と平成の混成アソートとなっていた。
こういった「歴代昭和ウルトラアイテムと、平成ウルトラアイテムの混成アソート」は、「出撃!ウルトラメカセレクション」などに受け継がれていくのであるが、この商品で特出すべきは、おそらくマスプロアイテムとしては初の立体化となった、科特隊専用車の存在だったろう。
科特隊専用車は、シボレーコルベアをそのままに、ステッカー処理だけで撮影に使用したため、メカキャラクターとして確立されていないということもあってか(もっとも、シリーズ元祖である『ウルトラマン』で、専用車をキャラ立ちさせる必要性や、意図を感じていたとも思えないので)、最初から玩具化を目論んでデザインされた、ポインターやマットビハイクルなどといった後進のウルトラ車両とは違って、長らく玩具としての商品化は行われていなかった。
作品評価的にも商品化的にも、『ウルトラセブン』(1967年)至上主義だった、第三期までのウルトラブームとは違って、この時期は初代『ウルトラマン』にも正当な評価が降りていて、三角ビートルや科特隊専用車も、率先して立体化されるようになっていた時期だった。
科特隊専用車は、このすぐ後の1998年にHGガシャポン「Part13新たなる光編」で、立体化が続き、特殊潜航艇S号も、専用車と共にHGガシャポン化され、同時期の「出撃!ウルトラメカセレクション」でもラインナップに入っている。
ビーグル5は、一応ミニポピニカという冠がつけられているが、特にポピニカ特有のギミックや高級感は演出されておらず、むしろ商品仕様としては、後のキャラウィールに通ずるような、「純粋なミニカーの仕様の中に、メカキャラを落とし込んでいった」感が強い。
これは科特隊専用車、ポインターなどといったキャラセレクトと共に、ミニカーコレクターなどの、高年齢層を取り込もうとした戦略ゆえとも受けとれる。
(ちなみに2000年から展開が始まったキャラウィールでは、その第一弾がポインターだったのをはじめ、マットビハイクルやマシンシャーロックなど、ビーグル5で立体化されたアイテムも、リメイクされてラインナップ入りした) この科特隊専用車の実際の商品の出来は、上記したようにスタンダードミニカーに準拠。サスペンションの手応えやパーツ構成なども、トミカ的に作られている。さすがにHGガシャ版と比較すれば、精度も高いしモールドもシャープ。HG版では省略されていた、ドアのマークも正確に描かれていて、フロント・リアのライト類やワイパーも、しっかりとディティールされている。ホイールは全アイテム共通だが、ここら辺もミニカーを意識した辺りか。この商品発売からはもう四半世紀が経過したわけだが、科特隊専用車のマスプロアイテムとしては、いまだに最高峰であると言えよう。