さて、本来は「子ども向けの子ども番組」である『ウルトラマン』(1966年)から始まったウルトラマンシリーズの検証や考察において、枝葉の部分。「とある一体の宇宙人の着ぐるみ」について、お送りしたいと思う。

なんでいきなり、そんな話題なのか?という、至極真っ当なご意見はさておき。
今回のお題は、『ウルトラマン』最終回に登場した最強怪獣、宇宙恐竜ゼットンを操っていたとして、ほんの数秒だけ画面に映った「ゼットン星人」が今回のテーマ

(ゼットン星人)

みんなね「ゼットン星人は、ケムール人の頭部を、90度捻じ曲げて被ったもの」だと思ってるでしょう!?

いやもうね、イマドキの、平成ウルトラに出てくるゼットン星人は、そりゃもう最初から造形しなきゃいけないんだから、ケムール人と印象をかえるために、いろいろ小細工を入れるのは正しいんですけど。
最初にゼットン星人が登場した『ウルトラマン』『さらばウルトラマン』でのゼットン星人の、解説やガレージキット等でも「ケムール人の頭部を、右へ90度捻じ曲げて装着した」で、検証も解析も終わってるのね。

でも、メインの写真見て、見てよ写真。
これ、ほとんど数秒の『さらばウルトラマン』での、ゼットン星人の出番の画像なんだけど。
確かにこの画像だと、カメラに対してケムール人の頭部が、右へ向かって90度捻じ曲げられてるけど。
その代り、体そのものも、カメラに対して正面を向いてなくって、気持ち右肩が後ろへ下がった、右足を引いた姿勢で、カメラに向かっているよね?
ということは。
この時のゼットン星人を、正面から見た時には、その頭部は決して「ケムール人の頭部を右へ90度曲げた状態」とは言い切れない。
むしろ、もうちょっと捻じ曲げ方が緩くて、45度から60度くらいの角度が、正解なんじゃないかと思うわけです。
それは、「ケムール人の時は正面に向かって、垂れ下がっていた、頭頂部の卑猥な触手角」の角度からも伺えます。


そもそも、一瞬しか登場しない宇宙人だから、適当にアリモノの宇宙人の頭を使っちゃえ状態だったわけですから、着ぐるみの基本構造や撮影状況を考えても、そもそもケムール人の頭部って、簡単に90度も曲げて、そのまま被れるようには、出来ていないと思うのだよね。
現場で誤魔化しながら被る角度を変えても、45度か60度辺りが限界だと思うのだが。

Facebook上で、ここまでを一度アップした時点で、一番の争点だった「ゼットン星人は、ケムール人の頭部を、90度ずらして装着しているのか?」に関して、某怪獣フィギュアメーカーのM社長とも「アレ、すごく、雑にケムールの頭部まんまを被っただけで、特に何も考えてないよね」という合意に達したが、それはそれで、立証しなければならない。
ウルトラ検証考察サイトの老舗『光跡』さんなどでは「ケムール人の頭部を逆向きに真横にして、眼を付け替えた」という検証結果を導き出しているが、いやいや、そこまで現場でやるぐらいなら、もう少し「ケムール人に、見えない努力」を選ぶでしょう、普通!」と思ったので、再度DVDを細かく要チェック!
ようやく、問題の核心に辿り着きました!

『ウルトラQ』でのケムール人)

『さらばウルトラマン』での、ゼットン星人の登場シーンは、僅か3カット、20秒(そのうち最初のカットは、倒れていて手とスーツしか見えない)しかない。
そこで映り込む殆どのコマで、前回紹介した「右側を退いた形でのカメラ向き」状態で、片目が正面を向いていることから、「ゼットン星人の頭部は、ケムール人の頭部を90度回転させて使った、使いまわしカスタムである」という都市伝説が、半世紀近くの間、流れつづけた。

しかし、何度も言うように、ゼットン星人の出番は「カメラに向かって、斜めに開いた角度の立ち位置」であって、決して真正面で映り込んでいない。
また、『光跡』氏の検証が事実だとするならば、ケムール人の目の取り付け位置が変更されている筈で、頭部に三つの目を配置されたケムール人の場合、一つの位置を変えれば、三つ全ての位置を変えるか、取り外しておかなければ、眼同士の距離感が悪くなってしまう(なので、ケムール頭部90度回転説を前提にした、平成ウルトラ作品登場の、新規造形ゼットン星人は、最初から単眼前提で造形されている)。

というわけで、何度も何度も繰り返し再生したDVD検証の結果、重要な事実がいくつか判明しました!

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