商品としては、何度も言うが、この商品はむしろチープトイの方に入る児童層向けの玩具であり、決してハイエンドフィギュアではない。
可動もそこそこ、オプションもほぼ無く、欠点を捜せば切りがないが、代わりに「手を入れさえすれば」の多様性のベースになった、まさに「ウルトラ超合金の次にくるべき商品」であったのだ。今度は逆に、この商品の欠点からあげてみよう。
「可動が少なく曲げ角度も浅い」「サウンドギミックのせいでボディの横幅が広がってしまっている」「腕の長さが普通である上にボディが横幅なので、ウルトラヒーローに必須の『光線技ポーズ』がほぼ全員無理」「サウンドギミックの収納のため、ボディが一切可動しない」「手首が拳のみ」「頭部は、その原型は全てソフビと同じ最新造形の物を使っているが、中空のソフビではなく、ムクのPVCで型から抜いた為、全てのヒーローが、元のソフビよりも少し横に潰れて細長い顔になってしまう」客観的に見て、短所と言えるのはこれぐらいだろう。
逆に、かなりの主観を交えた上でのアクションヒーローの長所を列挙していく。「ボディに分割線がない方が、ロボットっぽくないので見栄えがいい」「確かにウルトラ超合金や、その後のULTRA-ACTなどと比較すると横にボディが広い商品だが、元々スーツアクターが胴長短足で胴が目立つ体系の、ウルトラセブンやウルトラマンAなどについては、むしろ体型的には他のハイエンドフィギュアよりもリアルである」「頭部がPVCのムクなので、可動軸に対してギリギリまで削った上でソフビの頭部を被せるだけで、がらりと印象が変わって高級商品っぽくなるし、ディテールがフラットなウルトラマンを使えば、他のウルトラマンを自作することも難しくはない」「ソフビとサイズが合うので、ソフビの手首などをパーツにして、ジョイントを仕込み交換できるようにすれば、手の表情も代わる」「安いので、カスタムやバージョン違いなどの量産が可能」以上であろうか。
ウルトラ超合金とアクションヒーローという商品に関しては、当サイトでのインターミッションを見て頂くともっと詳細が判明するが、かつては禁忌とされていた、しかし70年代後半に一度は成功していた「ディテール関節型」が、「おおきな大人のおともだち」からも、児童層からも、受け入れられる土壌が、この二つの商品カテゴリの存在とビジネス実績で温められたともいえる。
その上で、あくまでハイエンドを向いたウルトラ超合金を、今一度「売れる商品」として因数分解して、そこから「緻密な分割と関節による多彩なポーズ」と「ソフビと同じサイズ(旧ソフビサイズ)なので、怪獣ソフビと絡められる」部分だけを抽出し、他は既に商品展開が始まっていたS.H.Figuartsの素材とノウハウを取り込んだ、ウルトラマンシリーズだけの独自ブランド、ULTRA-ACTが2010年に産み落とされた。