ウルトラマンを創った男・飯島敏宏
千束北男
飯島敏宏
的場 徹
「じゃあ、その恐ろしい音が聞こえるっていうのはこの井戸ですね」
「はぁ、300年も昔の物です。城が攻められたとき、海への逃げ道として掘られたそうですがね。今じゃ途中に、ホラ発電所なんか出来たりして、はたしてどこまで通じてるのかわかんなくなりました」
「よぉし、僕入ってみる!」
「聞こえませんか! アレですよ問題の音」
「ホシノ君! ホシノ君!」
「うわあ!」
「じゃあ突然の山崩れで水力発電所が破壊されたってわけですか。しかしおかしいなぁ……関東地方には地震もなかったし」
「怪獣を見たという報告がある」
「怪獣? 待ってくださいキャップ。実はホシノ君が、城の古井戸から妙な音が聞こえると調べに行ったんで、念のためにフジ君を同行させたんですが。ですが発電所と城があまりにも近いので心配なんです」
「よし、行ってみよう!」
「それであなたが見たという怪物はどこへ消えたんですか?」
「それが……すぐ姿が見えなくなったんです。こうフワーっと消えてくような……。発電所は前から狙われてたんですよ。時々異常に出力が落ちる事があるんです。あの怪物が電気を吸っていたんですよ」
「姿無き怪物か……うぅんこれはお手上げですね」
「電気を吸うと姿を現す……まったく恐ろしい奴だ……」
「キャップ、いわき市郊外には、第三火力発電所がありますね」
「じゃあ奴が本当に電気を食う怪物だとすると、今度はそこを襲うわけだ」
「うん! そうだ! いっそのこと一時的にですね。関東地方全体の発電を止めたらどうでしょう?」
「乱暴なことを言うなイデ。電気が止まったらどうなると思う? 電信電話も不通になる、新幹線も動かなくなる。それにまだあるぞ、水道、新聞、ガス、病院。社会の機能は完全にマヒしちまうんだよ!」
「第三火力発電所の出力は、一日20000000kw。東京より関東の60%を供給しています」
「うん……第三火力発電所の火は、何が何でも止められないんだ」
「あの海にはね、昔、ネロンガっていう怪物が住んでたんだって。それを村井強右衛門ていう侍が退治したっていうけど、まだ生きてたんだ。だって僕、こんな大きな目玉見たんだもん」
「ほお。発電所荒らしをやってる怪物が、そいつだっていうのかね?」
「ですからねホシノ博士。何百年もの間、じっーとしてた奴が、なんだって急に暴れだしたりするんです?」
「ネロンガの奴、何かのきっかけで、電気をエネルギーに変える事を覚えたってわけだ。あまり電気を食いすぎて巨大になりすぎ、井戸の中じゃ狭くなったんで外へ飛び出した……。なるほど、ホシノ君の報告も、まんざらデタラメじゃなさそうだね」
「姿が見えたり見えなかったりするのは、電子イオンの働きかもしれないわ」
「よし、第三火力発電所付近の住民には避難命令を出してもらおう」
「発進!」
「熱戦砲、ロケット砲を中心とする火器部隊に守られながら、一刻も発電を止めることが許されない発電所には、決死の作業に必要な人達が残って、発電を続けている」
「感度あり! 距離役1500」
「攻撃開始!」
「あ! ネロンガだ!」
「退避! 最後のギリギリまでがんばりました! もうダメです!」
「いや、よくやってくださいました。こうなっては仕方ありません」
「ウルトラマン……ネロンガをやっつけてくれよ……」
「あ! ウルトラマンだ!」
「ホシノ君。ウルトラマンがきてくれたのよ」
「君が呼んだからきてくれたんだよね。がんばってくれよ!」
「ウルトラマンをささえる太陽エネルギーは、地球上では急激に消耗する。太陽エネルギーが残り少なくなると、カラータイマーが点滅をはじめる。そしてもし、カラータイマーが消えてしまったら? ウルトラマンは二度と再び、立ち上がる力を失ってしまうのである。ウルトラマンがんばれ! 残された時間はもうわずかなのだ!」
「ばんざーい! ウルトラマーン! さようならぁ!」