ポインター
ウルトラ警備隊の専用特殊車両・ポインターは『姿なき挑戦者』の回などでは、バンダイの食玩ハイパーメカシリーズのポインターを使用したが、今回はHGメタルメカコレクションのポインターを使用してみた。
HGメタルメカコレクションは、1999年の頃にバンダイが展開していた、特撮シリーズのメカモデルである。
シリーズでは総じて、細かいパーツ意外は基本的には塗装済みの完成品で、高級感溢れる仕様で、次々と昭和の特撮メカをリリースしていった。
基本的にシリーズは、ウルトラとライダーのメカで占められていて、今回使用したポインターの他は、ジェットビートル、ウルトラホーク1号、マグマライザー、サイクロン号、ハリケーン号などといった、その後も数々の商品化で定番に入る人気メカが揃っていた。
特にライダーマシンなどは、そのシリーズタイトルが示すとおり、HGガシャポンのフィギアなどと絡められるというメリットもあり、そこそこ売れていたシリーズではあるが、時はちょうど食玩・ガシャポンバブルが始まったころで、安価で出来の良い完成品アイテムが、次々としのぎを削る時代になると、高価格帯・高級感でアピールしていたメタルメカコレクションも、食玩アイテムなどのクオリティ底上げの相対化で評価も下がり、やがてシリーズは終息を迎えてしまった。
この頃からバンダイは、特撮メカに関しては、ビートル、ウルトラホーク、ポインター、サイクロン、ハリケーンといった、最メジャーアイテムを初期ラインナップに揃えたシリーズを、何回も立ち上げては、その後のマイナーメカの展開という軌道に乗せることが出来ずに、やがて立ち消えてしまうという、悪しき循環が始まってしまうのだが、それはやがて玩具・フィギアマニアの、「RX-78-2ガンダムとザクと、ビートルとホークとポインターと、初代マンとセブンと、旧1号ライダーとサイクロンはお腹いっぱい」という常套句を生んでしまうのである。
さて、そんなメタルメカコレクションのポインターではあるが、今の目から見たその出来の評価は、例えば前回使用した、食玩版のポインターと比較してみると面白い。
かたや、食玩バブル直前の高級アイテム(当時定価1050円)、かたやバブル以降の食玩アイテム(当時定価315円)、商品全体の精密感や質感は、さすがにメタルメカコレクションの方が上である。
ミラーやアンテナ等の細かいパーツも、食玩よりもシャープに出来ている。
フロントガラスもクリアパーツだし、車内もそれなりに作られている。
しかし、そういった点と重量感を除けば、後は食玩の方が勝っている点は多い。
まずはやはりその大きさが違うこと。しかも、大きさが違っていても、フロントグリル周りのディティールや、シルエットのシャープさなどは(食玩版のヘッドライトが安っぽいシールだという難点を考慮しても)食玩版の方が出来が良い。
加えて、この時期にコスト面で急激な進歩を遂げた塗装印刷技術は、1050円する高級アイテムと全く変わらないレベルの塗装を、300円の食玩版に施せる域に達しているのは驚きだ。
マニア向けコレクターズアイテムの、マスプロ展開黎明期ゆえなのか、今の目で見ると「中途半端だ」という印象が強いメタルメカではあるが、むしろここは、そう思えてしまうほどにレベルが高まった、この時期の食玩やガシャポンアイテムのレベルの高騰を、今となっては素直に懐かしみたい ポインターに関しては、以降はおそらく、シーンの演出や意図によって、食玩版とメタルメカコレクション版の両方を、使い分けていくことになると思う。