キングジョー

さて、今回の目玉であり、ウルトラ敵キャラで唯一の現役合金製最新アイテムが、このバンダイ超合金魂キングジョーである。

そもそも超合金魂とは、その名の通り、バンダイ(ポピー)が70年代に展開していた、当時の男子児童であれば誰もが思い入れのある、キャラクター玩具の名称を受け継いだシリーズである。

ロボットアニメエポックの金字塔『マジンガーZ』(1974年)に登場した、「超合金Z」という架空の特殊金属の名称を冠して、そのマジンガーZを初めとして、子ども番組のロボット各種を(最盛期以降は、ヒーローや歴史上の人物まで)、亜鉛合金をメインとした材質で立体化した、日本の玩具史に残るヒット商品のシリーズが超合金なのである。

その超合金を、現在に復活させ、往年の名キャラクター達を、最新の技術で再現しようというのが、このバンダイの「超合金魂」シリーズなのである。

シリーズは1997年に、もちろんマジンガーZの商品化からスタート。

マジンガー以後の超合金の歴史を語るに欠かせない、超電磁ロボ・コンバトラーVやゲッターロボ、超獣機神ダンクーガなどを中心に、ボスボロットやアフロダイA、ダブラスM2などのマジンガーの脇役ロボや、東映ヒーロー版スパイダーマンに登場するロボット・レオパルドンや、俗に言う「リアルロボット」系に属する、富野由悠季監督のアニメ『戦闘メカ ザブングル』(1982年)『伝説巨神イデオン』(1980年)などの主役ロボットまでも商品化しているという、高年齢層をターゲットにした、バンダイの主力アイテムである。

その超合金魂の特撮敵アイテムが、今回紹介するキングジョーなのである。

70年代超合金アイテムのリファインから、実写東映ヒーローの巨大ロボット、80年代リアルロボットアニメロボから、放映当時他社版権だったロボまで、幅広いジャンルのロボットを商品化してきた超合金魂であるが、円谷ウルトラメカを商品化するのは、このキングジョーが初めてになる。

(筆者がブログでメインに使用しているウルトラ兄弟達も、今回紹介している超合金魂のコンセプトに酷似したアイテムではあるが、とりあえずウルトラ兄弟は「ウルトラ超合金」というシリーズで統一されており、超合金魂というブランドには属してはいないのである)

これは、シリーズが先細りして動脈硬化を起こさない為に、あえて混沌とした商品化例を成立させることで、「超合金魂」という枠の中で、どんなロボットであっても商品化は可能なのだという、バンダイの意思表示にも受け取れるのである。

「ウルトラセブンのキングジョーで合金化」という点では、バンダイ(ポピー)は一度70年代末の第三期ウルトラブームの頃に、一度超合金ブランドでキングジョーをリリースしているが、今回の商品化はそれへのオマージュであるとも言えよう。

また、キングジョーの合金トイは、やはり70年代にアークというメーカーから「アークロン合金」なる二番煎じブランドで、玩具らしい奇抜な変形や組み換え遊びがおこなえるアイテムが発売されていたこともある。

現代のアクションフィギア界においても、キングジョーはセブンの人気キャラであることから、アイテムは数多く発売されている。

バンダイのウルトラ怪獣シリーズからはもちろんラインナップされているし、怪獣郷バンプレスト、バンダイB-CLUBなどからは、様々なアプローチ、サイズのソフビも出ている。

食玩、ガシャポン、ガレージキットでも、キングジョーは真っ先にアイテム化される人気キャラであるし、70年代のタカラ『変身サイボーグ』のように、アクション素体にスーツを着せて可動させるタイプのフィギアでも、オオツカ企画が1/10(着ぐるみスケール)のハイパーヒーローシリーズで、セブンとセットで、そしてメディコムからも1/6のリアルアクションヒーローシリーズで、それぞれキングジョーが商品化されている。

今回紹介する、超合金魂キングジョーは、そのメディコムが2003年に発売した、ミラクルアクションフィギアのキングジョーを、仮想敵アイテムとして成立しているようにも見受けられる。

ミラクルアクションフィギアは、材質こそ合金ではないものの、メディコムが企画・リリースするロボットアイテムの人気ジャンル。その設計やサイズ、プレイバリューは超合金魂に近く、『勇者ライディーン』(1975年)など、超合金魂で発売されていないロボを、巧みに商品化にこぎつけて、当時展開していたシリーズである。

近年ではバンダイは、第三メーカーが隙間を縫って商品化したロボを、後から同じコンセプトで超合金魂として商品化するパターンも多く、その姿勢や、既出の第三メーカー版アイテムと出来を比較されたりして、ファンやネットではしばしば物議をかもし出すことも少なくない。

今回の、超合金魂版キングジョーも、メディコムのMAF版キングジョーがコンセプトとしていた「4機のUFOが合体してキングジョーになるプロセスを立体化」「完成したキングジョーは、アクションフィギアとして可動する」を踏襲して、さらにそこにメディコム版では不可能であった「差し替え無しの合体変形」への意欲を見せたアイテムとして、発売前から注目が集まっていたのである。

さて、まずは今回はこのアイテムの存在背景について、語ってみたのであるが、実際の超合金魂キングジョーの細かいレビューについては、後編のインターミッションで行ってみたい。

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