というわけで、物書き家業として独立したからには、一生に一度ぐらい、担当編集の指示とかクライアントからの修正要求のない「最初から最後まで、自分の表現したい物語世界を書く」をやってもいいじゃないか。
ハナ肇とクレージーキャッツ映画『クレージー作戦 くたばれ!無責任』(1963年)の主題歌として同タイトルの主題歌を、青島幸男御大が作詞したが、その中にある「たまにゃいいじゃないか やりたいことを やりたいように やろうじゃないか 責任もって やろうじゃないか くたばれ!無責任!」というこの精神。
そうして徹頭徹尾「市川大賀流」で書かれたのが、本作『折口裕一郎教授の怪異譚 葛城山 紀伊』である。