スーパーロボットアニメとリアルロボットアニメ

『機動戦士ガンダム(以下『ガンダム』)』(1979年)は、高いドラマ性や斬新かつ普遍性の高いテーマが評価されてブームを創り上げた。
一方で、それまでのロボットアニメと全く異なった「戦争」「兵器」というミリタリー的側面を強く打ち出したことで、かつてないリアリズムをもたらし、こちらはガンプラと呼ばれるプラモデル人気とリンクして、ブームの側面を支えたことも今までに記してきた。

アニメ業界では80年代初頭、『ガンダム』の後釜を狙おうと、戦争や内乱やSF的世界観を舞台にした、兵器ロボットのアニメが『太陽の牙ダグラム』(1981年)『超時空要塞マクロス』(1982年)『機甲創世記モスピーダ』(1983年)『銀河漂流バイファム』(1983年)『特装機兵ドルバック』(1983年)『装甲騎兵ボトムズ』(1983年)等々、次々量産され、それらは既存の「主人公メカが他のメカと合体して、雄叫びと名乗りを上げて必殺技を繰り出して、毎週違ったヤラレメカを倒していく」スーパーロボットジャンルと区別する意味で「リアルロボット路線」と呼ばれるようになった。

その後1980年代後半からは、リアルロボット路線アニメの衰退や、タカラサンライズ『勇者シリーズ』など、スーパーロボット路線アニメの台頭などもあり、ロボットアニメは混沌の中を模索することになるが、1990年代の、コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)用ゲームソフト『スーパーロボット大戦』シリーズが、ゲームバランスとコンセプトの両立として、明確に「スーパーロボット」と「リアルロボット」を、ゲームユニットの特性として持ち込み、差別化の印象をポジティヴに決定づけた。

同ゲームの概念から行くと、スーパーロボットは、敵の攻撃を避けるのは上手くないが、頑丈な装甲で受けるダメージは少なく、通常技はあまり役に立たないが、戦闘を重ねた後に使えるようになる必殺技は最強無敵。しかし、移動力が遅いという共通設定があり、対してリアルロボットは、雑魚敵からの攻撃でも、一撃でも当てられてしまうと致命傷になりかねないが、ちょっとやそっとでは、敵からの攻撃は当たらない機動性を持つ。一部のユニットや主人公メカを除いて必殺技は持たないが、通常攻撃が当初からそれなりに威力を持ち、集団での戦いに向いているという、どちらも言われてみればなるほど、という案配に仕上がっていた。

ならば、今回のメインテーマである『ガンダム』の主役メカ・ガンダムは、ロボットアニメ史を塗り替えるほどに斬新で、リアルで、それまでオンリーワンでしかなかった“ロボットアニメ”を、二つのジャンルに分け隔てるほどにリアルだったのか、というエクスキューズがここで生まれる。
ここで今回問題提起をする「ガンダムだってそもそもは、スーパーロボットだったじゃないか」は、まるで『裸の王様』のように、近年鬼の首を取ったかのようにファンがアジテーションしている姿を見るようになった。

サンマロ「な、何でしょう、今のは!?」
ミライ「爆発だわ!」
マーカー「方法は分かりませんが、ミノフスキー粒子の射出口とECM発信器をやられました」
オスカ「来ます! ドップらしき編隊二十機」
ミライ「戦闘機ね! アムロ! リュウ! アッ、……い、いえ、アムロ! ハヤト! コアファイターで発進して下さい!」
セイラ「コアファイター発進、急いでください」
アムロ「ハヤト、さきに行くぞ! なるべくくっついて斗うんだ! 判ったな!」
ハヤト「了解」

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