ギガス

雪山奥から現れた、類人猿系雪男怪獣・ギガスは、バンダイのウルトラ怪獣シリーズからはラインナップされていないため、当初はドラコの項でも書いたように、ギガスに関してはブルマァク復刻版を使用する案もあったが、そうすると、どうしても、バンダイ版レッドキングやウルトラマンよりも大きくなってしまうので

脇役の分をわきまえるという意味も含めて、バンダイ版とほぼ同じ大きさである、旧ポピーが70年代後半に展開していたソフビシリーズの、キングザウルス版ギガスの当事品を、今回はリペイントして撮影に使用した。

旧ポピーが、事実上ブルマァク倒産で途絶えたウルトラ怪獣ソフビを、新規に展開発売し始めたのはブルマァク倒産直後の1978年。

そのラインナップは、第二期ウルトラ終了までの怪獣を、総括俯瞰する中からソフビ化する視点で選ばれており、しかしそこでの選択は、現代のバンダイ怪獣シリーズとも微妙に異なっているので、第三期と現代の、昭和怪獣の価値や位置付けの違いを見るうえでも興味深い。

もちろん、キングザウルス期の現役番組だった『ザ☆ウルトラマン』(1979年)『ウルトラマン80』(1980年)の怪獣などは、キングザウルスでしか見受けられないキャラも多いが(というか『ザ☆ウルトラマン』怪獣は、後にも先にも、マスプロソフビではキングザウルスでしか発売されたことはない)、バルタン、レッドキング、エレキングのようなメジャー級の定番キャラはともかく、他の怪獣では、初代ウルトラマン怪獣だけを見渡しても、様々な組み合わせの妙味が見て取れる。

まずは、初代ウルトラマン怪獣で、ブルマァクからしか、いまだにマスプロソフビが発売されてないのが、ザラガス、マグラー、サイゴの三種類。

逆に、1983年にスタートした旧バンダイウルトラ怪獣シリーズで、初めてソフビ化されたのが、バルタン星人二代目、再生ドラコ、ダダ、ウーの四種類。

それと比較すると、キングザウルスでしかソフビ化されていない『ウルトラマン』怪獣は、ザンボラーだけで(もっとも、だからこそあのザンボラーの造形はひどすぎるのだが……)、意外とキングザウルスの商品化は、バランスの取れている手堅いラインナップだったことが解る。

その他、複数社で被った怪獣は(ブルマァク・旧ポピー・バンダイの、三社全てでソフビ化された怪獣は除く)キングザウルスと、バンダイウルトラ怪獣で発売されていて、ブルマァクで出なかった怪獣が、ゲスラ、グビラ、ペスターの三種類。

そして、キングザウルスからは漏れたものの、ブルマァクとバンダイの両社でソフビ化されたのが

ジェロニモン、チャンドラー、ネロンガ、ドドンゴ、アボラス、バニラ、ザラブ星人、ジャミラ、スカイドン、キーラといった怪獣・宇宙人達である。

そして最後は、ブルマァクとキングザウルスで商品化されていて、最後までバンダイウルトラ怪獣シリーズではラインナップ入りを果たさなかった怪獣達が、ガボラ、ゴルドンで、今回撮影に使用したギガスもこれにあたる。

余談だが、日本人は怪獣というと、もちろんゴジラ型の恐竜怪獣を連想するが、欧米ではキングコングの影響や、レイ・ハリーハウゼンの映画『シンドバッド七回目の冒険』(1958年)に登場したサイクロプスの影響からか、ギガンテス(Gigantes)と呼ばれる類人猿型怪獣の方が人気があるらしい。

なので、そのギガンテスをもじった名前のギガスも、実は日本より欧米で人気が高いらしく、まだ復刻版もネットも登場していなかった時代の、ブルマァクソフビの中古市場では、なぜかギガスだけが外国人コレクターに人気で、価格が高騰していた時代もあったらしい。

キングザウルス版のギガスは、塗装で損をしているが、造形自体はキングザウルスの中でも高いレベルに入る傑作に数えられるだろう。

受け口の下顎の牙も丁寧に一本ずつ抜かれているし、若干ポーズが固いものの、プロポーションも悪くない。

ギガスの場合、肩の盛り上がりがソフビの肩嵌着の外側に有るので、腕を上に上げたときに肩の形がシルエットを崩してしまう辺りは、ブルマァク版と同じである。

むしろ、着ぐるみとしては、同じ構造を持っていたジャミラの場合は、ブルマァク版もバンダイ版も、腕の嵌着を肘に設定することでその破綻を防いでいたわけだが、ギガスの場合はなぜか、そういう処理がどちらでも見られていないのは、残念としか言いようがない。

しかし前述したように、造形の方向性はすこぶるリアルでまとめられており、バンダイ版のレッドキングや、カスタムドラコと並べても遜色がないので、今回はリペイントだけで撮影に使用することにした。

まずは解りやすく胴体の嵌着部分で上下を、それぞれつや消し白とウッドブラウンで塗りわけ。

目は、白目にウッドブラウンを描きいれ、最後に点付けで黒い瞳を足した。

唇はピンク、口中は赤、顔はつや消し黒で塗装。

手足の爪はキングザウルス製品の状態のまま撮影で使っている。

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