長年、ブログ時代から筆者ととお付き合いしてくださってる皆さんはご存知のように、筆者はこれまで、昭和ウルトラ作品にこだわり続けてきた。
それは、文章・評論の面で語るのであれば、今回の評論に書いたように、筆者が『ウルトラマンティガ』(1996年)以降の平成作品に関して、あまり興味がなかったせいでもあるが、特撮面で語るのであれば、筆者が用意している特撮のシステム、ミニチュア、小道具、CGの技量などなどが、昭和作品をイメージして構築されているために、平成ウルトラならではの魅力を再現するには、致命的に不向きであるということが挙げられる。

紙ビルのビルミニチュアのイメージ、セット構築ルーティン、CG合成のセンスとスキル。
どれをとっても、平成ウルトラを再現する方向とは一致はしない。
いや、昭和のウルトラを(筆者程度でも出来るのさと)舐めているのではない。
筆者のスキルは、昭和ウルトラから数十年を経た、90年代に加速したデジタル技術に寄って成立してる部分が多く、そういった意味では、同じデジタル技術を、しっかりした技術と才能を持ったプロが、素晴らしい仕事をしている平成ウルトラに関しては、太刀打ちできるはずもないという、至極もっともな理屈ゆえ、挑戦をしないで逃げてきたという実績がある(笑)

しかし今回、ウルトラの歴史を自分なりに辿るという企画において、「昭和のウルトラを愛した者だからこそ外せない平成作品」として、この『ウルトラマン コスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)再現は存在していた。
コスモス劇場版は、それまでの平成ウルトラとは自分の中で立ち位置が違い、筆者の中で一番心に残る平成作品になっている。
ある意味でこのブログを一言で表すならば「市川大賀の愛したウルトラ」の羅列である。
なので、無理と役不足を承知で挑もうと決心した。

まずはシステム的に解決すべきは、そこで登場するウルトラマンやバルタン星人のフィギュアである。
これに関しては後述するとして、今回は一本の作品に対して、コスモスルナ・コロナ、バルタンのベーシカル・ネオ初期・後期、チャイルドと、6種で(カスタムフィギュアを入れると)12体という、今までにない大量の数のフィギュアを投入した。
この「一本12体」という数は、我がブログ的にはもちろん前人未到の数であり(笑)、単純に「1作品に登場するフィギュアの数」だけで換算するのであればかなり全体でも上位に位置する。

本作の場合、ここで登場するほとんどのフィギュアは、この一本きりで出番を終えるわけで、にも関わらず(成り行きゆえとはいえ)コスモスのそれぞれのモードごとに、三種類のフィギュアを用意してしまったり、ネオバルタンも二種用意するなど、自分で言うのも変だが、並々ならぬ思い入れゆえ、歴代作品トップクラスの経費がかかてしまった。

一方、ミニチュアセットに関しては、フィギュア段階で予算を食い尽くしたというのもあって(笑)なんとか、既存のミニチュアセットで再現を試みることにした。
幸い、佐川和夫監督の特撮は、ミニチュアセットに関しては平坦な演出が特色なので(おそらく飯島敏宏監督の趣味だろう)神社の鳥居など一部を除いて、新興住宅地の開けたセットは、今まで筆者が構築してきたセットの流用で築いた。

合成に関しては、それまでは「昭和のウルトラ特有の、中野稔氏によるデン・フィルム・エフェクト合成」を目指し、それは筆者の場合は特に、フォトショップというデジタルツールによって、なんとか再現できてきたのであるが、今回は、そのデジタル技術をプロが使いこなして表現した、現代日本特撮最高峰レベルの合成を、真似して再現しなければいけないという状況なのである。
これはもう、挑戦する前からある意味で試合放棄の感覚であった。
なので、合成描画CGに関しては、あくまで今回は「なんちゃって」レベルに終始している。

といった感じで、言い訳前払いの羅列になってしまったが(いつものことか?)、ここからは順を追って、カットの解説に入っていこう。

まずは冒頭、人類のあずかり知らぬ宇宙空間で、人知れず繰り広げられている、ウルトラマンコスモスとバルタン星人の死闘。
地球をバックに、守るように立ちふさがるコスモスのカットから始まって、バルタンの光線を避けるコスモス、突っ込んでくるバルタンに一撃を加えるコスモス、光線を撃ち合う両者、というカットを重ねて、オープニングへ入る。

その後、序盤はムサシとコスモスの邂逅を描く。
望遠鏡に一瞬だけ映るコスモス。そして力尽き果てて透明の状態で横たわるコスモス。
ここでの透明なコスモスは、ソフビをシリコンで取った型に、クリスタルレジンを注入することで、クリア素材のコスモス上半身を作って撮影している。

コスモス・ルナ(クリアパーツ)紹介

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