ベトナム戦争が想起させた恐怖のイメージ
金城哲夫
野長瀬三摩地
高野宏一
「その日、宇宙ステーションV3から、六ヶ月ぶりに休暇をもらい、地球の本隊に帰ってきた一人の隊員があった」
「警察からの報告では、この三日間で十数人の被害者が出ておる。しかも恐るべきことには、それらがみんな怪物化し人間に襲いかかるのだ。襲われた者がさらに怪物化して次の人間を襲う」
「ねずみ算式で増えていくわけですね」
「そのとおりだ。このままいけば数か月後には、地球上の全人類が怪物化してしまう」
「また夜が来た。人々は恐怖にじっと息をひそめていた。獲物を失った怪物・ワイアール星人が、無人の街から血に飢えて戻ってきた。彼が次に狙うものは……」
「ウルトラセブン、がんばって!」
「警視庁からの連絡が入りました。事件は無事解決し、被害者のすべては人間に復活し収容した。ウルトラ警備隊の活躍に感謝する。以上です」
「了解! この台詞はウルトラセブンに言ってもらいたいなぁ」
「事件は終わった。だが、宇宙からの侵略が終わったわけではない。あの鉛色の物体が、いつあなたの庭に落ちてくるかもしれないのです。明朝、目が覚めたら、まず庭をご覧ください」
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