最初、このサイトを作る時に、僕自身のサイトなので、僕自身の職歴、仕事の紹介などもページとして作っておくべきだという意見が出てきた。
だがしかし、僕は一応、名刺とは別に、自分の職歴や代表作を書いたプロフィールファイルを作っていて、初対面の仕事相手などにはメールで送っているのだが、それを一つのページにまとめようとしたところ「ただし、そのページを作ってしまうと、その後変更や追加記載が出来ません」とシステム担当の方から言われてしまった。
なんで!? どうして!?
僕は憤るしかなかった。仮に僕が今後新刊を出したとしても、宣伝は出来てもメインプロフに書き加えられないのか? もしも僕が来年直木賞を受賞できても、それが公式サイトの職歴に記載されないのか!
くそっ!なんて時代だ!(註・これ、皆知ってるネタ台詞だよね?)
しかし、まぁ、喚いてみたところで仕方がない。
というわけで、過去に僕が関わった仕事を、独立して書くカテゴリを、投稿の中に配置してもらって、そこに僕の、若い頃からの仕事の数々を書き記していけば、新たな仕事が来ても、追加記載が可能だというリクツに収まった。
まぁなんというか、通常投稿に埋もれているので、探してこのカテゴリ投稿だけを読む人がいるかどうかも謎だが、どうかお付き合いを頂きたい。
さて、若い頃の僕は、テレビや映画の助監督や制作進行で、撮影所や現場を駆けずり回っていたことは、懇意にしてくれている人にはお馴染みの昔語りになると思うのだけれども。
僕のことを、親の仇よりも恨んでいるアンチに言わせると、僕は過去の助監督の経歴も詐称している似非らしいんだけど(笑)それはなんで、そのかわいそうな人がそう思えてしまうのか、僕には明確に理解できるのだ。
一応初心者さん向けに解説すると、例えば助監督というのは、ドラマや映画の裏側では「演出部」という部署に所属していて、それはチームで構成されている。チームの人数は作品の規模にもよるが、一番上がチーフ助監督。この人が監督の右腕として、監督に監督たる表現の部分に集中してもらうため、本来監督が考えなければいけない雑多な演出も、チーフが行っている作品も多い。「映画の良しあしはチーフ次第」とも言われている。
そして、映画やドラマには、だいたいエンドロールでスタッフ一覧が流れ始めるのが常識だが、一本の映画やドラマで、関わったスタッフは膨大なので、さすがに全員を書き記すわけにはいかない。結局各部、各セクトの代表だけが記されるわけで、そうなれば演出部からは、チーフだけが助監督名義でクレジットや関係資料に残るのだ。
そのアンチ君は、自称映画業界の人間なのだが、僕の助監督が詐称だという根拠が「お前が参加したという作品のクレジットにお前の名前が載っていないし、誰に聞いても覚えていない」というもの。
サード助監がテロップに載せられたら、余計プレッシャーでかくなるわ(笑)
で、「当時のスタッフが覚えていない云々」に関しては、次回で解説したい。
余談になるが、バブル時代、あえて名前を出さないが、映画がコケること前提で、税金対策の為に赤字を目標にして(笑)映画監督を本業にしていない、名前だけはカリスマの、ミュージシャンや作家、エッセイスト等が監督を務めた映画が枯れ木も山の賑わいになったが、だいたいそういう映画は、監督とは名ばかりの「ただ有名な人」はディレクターズチェアに座らせておくだけで、現場の殆どは、チーフが取り仕切る、そんな現場も少なくなかった。
そして、チーフの下にはセカンドがいて、その下に一番下っ端のサードがいるのだが、もちろん、業界に入りたての新人の助監督は、サード助監からはじめるわけで、僕も新人時代はサードから始まった。
サード助監の仕事はなんだ?という素朴な疑問があるが(今は知らねど)僕が業界に飛び込んだ80年代は、まずはカチンコを叩く仕事からやらされた。
カチンコを叩く、というと、フィルム時代には凄く重要な仕事で、完成したフィルムと音声トラックを、編集で同期させるためのブロックとしてカチンコの映像と音が必須で、そこにチョークで書かれたシーンとカットとテイクナンバーで、スプリクターさんの資料と共に、編集さんがフィルムを繋いでいくわけだが、僕が学生時代に初めてバイトで飛び込んだ、ドラマの現場では、その初日(もうすでにドラマ自体はクランクインしていた)に、セカンドの先輩からカチンコを渡され「このカチンコは、後で返す物ではなく、自分が助監督をやっていく人生で、ずっと使い続けていく物であること」「プロの現場では『カチンコ』とは呼ばず、『ボールド』と呼ぶのが当たり前であること」等を教えられた。
「初日は何も考えるな。ボールドをちゃんと入れることだけ考えろ。だがしかし、見学者にはなるな。全ての現場を見て。どのセクトが何をしているかを一日でも早く覚えろ」
僕にそう言ってきたのは、その2時間ドラマの制作主任だった平増氏だった。
平増氏は、フリーで制作主任等を請け負う流れのプロフェッショナル。
制作主任とは、演出部とは違って、ロケやスケジュールの手配や、各セクトの割り振りを調整して、現場全体が淀みなく進行していくために稼働するセクトである。制作主任は演出部ではチーフに当たり、制作部の最下層が制作進行ということだ。