『ウルトラマン』(1966年)初期を特徴付ける「海から上陸を狙う怪獣との攻防戦」

本話のゲスラは東京湾から港湾倉庫地帯を狙って上陸したので、『光の国から愛をこめて』の再現セットも、青空背景・グレー土台・倉庫紙ストラクチュアの他に、本物の水と青セロファンで構築したプールを使用した。

ゲスラが襲う船は1/700ウォーターラインスケールシリーズ氷川丸

また、ゲスラが襲い、ウルトラマンが助けるパトカーは、鉄道模型情景用のミニチュアで、サイズはNゲージスケール。

二つともスケールは、ソフビ怪獣やウルトラアクションヒーロー・ウルトラマン(1/250)とは違うものの、雰囲気は非常に出てくれた。

特にパトカーは、ウルトラマン放映当時のものに近い年式の車両なので、まさにこのカットの再現にはうってつけのアイテムだった。

ウルトラマンとの決戦では劇中同様、壊れた倉庫の瓦礫を再現するために、これまでにストラクチュア製作で発生したスチレンボードの切り屑を、それっぽく塗装して土台の上にばら撒いた。

ウルトラマンのカラータイマーはフォトショ描画。

後は移動ブレぼかしや土煙描画を多用して、アクションの激しさを強調している。

ラスト、ゲスラの頭のヒレは音フォトショで切り抜いて表現した。

ゲスラ

ゲスラは定番のバンダイウルトラ怪獣シリーズソフビを撮影に使用している。

このアイテムの発売は1991年で、既に商品の方向性が、ガレキを凌駕するリアリズムに移行していた頃であった。

このゲスラの造形も、例に違わず充分にリアルではあるのだが、しかしその一方で、どこかマスコットアイテムのような、印象を持たざるをえない出来になっている。

なるほど、確かにゲスラはそもそもの、改造ベースである『ウルトラQ』(1966年)のピーターがそうであったように、ギョロっとした眼と大きな唇がオバQを連想させるし、愛嬌のあるデザインの怪獣だ。

しかし、このソフビでは、とにかく顔が大きく作られていて、全体が三頭身に近いバランスで完成している為、ディテールの細かさなどの怪獣的リアリティを超えて、「愛らしさ」「可愛さ」のアイテムに仕上がってしまっているのである。

同様の傾向は、二年後に発売された『ウルトラマンA』(1972年)の超獣・バラバのソフビにも共通している。

この、ゲスラとバラバに共通する特徴が、単純な原型師の癖によるものなのか、それとも「子ども向け怪獣人形」における、リアルとディフォルメの境目を模索した、バンダイのコンセプトワークの迷走の結果なのかは、筆者には窺い知る由もないのではあるが、バンダイ式リアリズムとマルブル的ディフォルメの珍妙な融合の形を、ここに見取ることができる。

商品は、眼と口のピンクと、ところどころに雑に吹かれた金スプレー以外は、成型色のままであったため、全体的にリペイントを施した。

顔と腕のヒレは、ディトナグリーンと濃緑色の混色。腹部と腕部はエアクラフトグレー。下半身はセールカラー。トサカやヒレは、濃緑色とイエローで塗りわけ、ゲスラ独特の極彩色を再現してみたつもりである。

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